オードリーのオールナイトニッポンにぺこぱがきてて

 先週土曜日(2月22日)のオードリーのオールナイトニッポンは、たぶん、リトルトゥースと言われるヘビーリスナーのあいだでは、語り草になっていることであろうから、今更、何をかいわんやなのだけれども、通りすがりリスナーにもほんとにおもしろくて、ひとこと書かずにおられない。
 去年のM1グランプリは、水準が高かったと評判だった。決勝に残った3組の中でも、オードリーの二人がいちばん高く買ったのはぺこぱだったということはこのブログにも書いた。
 で、その後、オードリーのこのラジオで「どうやらぺこぱはTAIGAさんを師匠と仰いでいるらしい」という話題でざわつき始めていた。TAIGAさんという人は、新参者のリスナーにはよくわからないのだが、どうやらオードリーがまだ売れない頃からよくつるんでいた先輩だそうなのだ。
 この人↓

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AIGAさん

 R-1の決勝にもでたことがあるそうだけど、売れてるとまでは言えない。
 若林さんが
「ぺこぱはTAIGAさんを師匠と仰いでるらしいよ」
というと春日さんが
「んなわけないだろっ!」
と突っ込んで笑いが成立する。そんな感じだったので、先週の土曜日、真相を明らかにすべく、スタジオにぺこぱとTAIGAさんを一緒に呼んだのだ。
 ぺこぱは昨年のM-1以来、いまをときめく人気者であるのに対し、TAIGAさんは、その場の5人の中で一番先輩ながら、誰それ?ってところなので、最初、若林さんはぺこぱだけ紹介して、TAIGAさんには触れなかった。これはまあ「べた」と言ってもいい王道な入り口だったと思う。
 ところが、ぺこぱの松陰寺が,その間をまちきれず、TAIGAさんに挨拶してしまった。これは、プロの芸人の場では,なかなか起こらないことだと思う。たぶん、よくないと言われるかもしれないのだが、とにかくそのことひとつとっても、本気の師弟関係だと知られるわけである。
 ぺこぱのねたはほとんど松陰寺が書いているそうだが、彼はもともとミュージシャンを目指していたことこもあって、TAIGAさんがR-1の決勝にでたときの背景音なんかは松陰寺が作っていたし、舞台裏の音響なども彼が操作していたそうなのだ。ところが、TAIGAさんの予選の日が、ぺこぱ自身のライブの日とかぶってしまった。自分たちのライブと先輩のR-1予選の手伝い、どっちをとるかの板挟みなんだが、相方のシュウペイに「そんなのボタン押すだけなんだから誰かに頼め」と言われて、自分たちのライブにいってしまったそう。 
 松陰寺は「判断を間違えた」と言っていたが、ライブの規模にもよるけど、自分たちのライブに行くのがそんなにまちがいなのかどうか微妙だと思う。そのあと、しばらくTAIGAさんに口をきいてもらえず、ある日、朝まで説教されて泣いて詫びを入れた。その翌日が、ビックスモールンのチロ主催のマラソンで、松陰寺はそれに出走した。
 朝まで泣いて謝った翌日にマラソンに出る?。若林がおもわず「それ全部シカトでいいとおもうけどな」とあきれていたが、そのマラソンの途中に、TAIGAさんから、今度は、R-1決勝の音響を手伝ってくれって電話がかかってきた。若林ならずとも「シカトでいいだろ」って思うのだが、松陰寺の場合、またしくじったらやばいということで、電話のあと、全力疾走してマラソン大会に優勝したのだそうだ。
「なにその変な『走れメロス』みたいなの」と若林がつっこんでいた。
 この松陰寺って人は、いい人が異常だわ。よくないと思う。あの漫才のスタイルにはよく作用するだろうけれど、フリートークで大丈夫なのかと心配してしまう。
 一方のシュウペイの方は、「TAIGAさんのことをあんまり師匠とおもってない」と本音をカミングアウトしていた。ことの是非はともかくとして、ラジオでもテレビでも、むしろ、そのいじり方の方がオーソドックスだと思う。まだ、M-1から二か月そこそこの今はご祝儀の時期にちがいなく、この間にはずみをつけておきたいとという思いを、たぶん、シュウペイの方は持っているのではないかと思う。
 そういうシュウペイの態度に若林さんがちょっと引いているように感じられた。若林自身も、「芸の相談こそしないものの」プライベートなことでまず相談するのはTAIGAさんだそうなのだ。
 ニッポン放送の今を騒がせている存在と言えば、テレビ東京の佐久間宣行ということになる。ニッポン放送の玄関に、佐久間宜行のポスターという事態だそうだ。
 その佐久間宜行が先週、火曜から金曜までオビでラジオ番組をやっていた。佐久間宣行の東京ドリームエンターテインメント という、その番組の最終日、金曜日にオードリーの春日が出演していた。佐久間宜行とオードリー若林はプライベートでも付き合いがある。でも、春日と話すのはめずらしい。それでいきおい、若林の話になっていた。
 オードリーのネタを書くのは全部、若林だし、若林はどちらかというと「右往左往する」。そういうとき春日はどうするのかというと、「また、なにかやってるなと思うのだけれど、自分にできることはない」と静観するしかないそうなのだ。
 春日が結婚直前に女性問題ですったもんだしたとき、久しぶりに若林の自宅で二人きりで話したそうなんだが、そのとき若林さんが言ったのは「俺たちいつのまにかこういうことになっちゃったな」と。
 土曜日に時を戻すと、ラジオのオープニング、まだぺこぱもTAIGAさんも呼び込んでいない前のトークで、若林が「春日は何歳くらいまでやりたいとかあるの?」といった話になり、春日は70、80とかになっても「旅サラダのラッシャー板前さんみたい」な仕事をしていたいと、実に、春日さんらしいものの考え方なんだが、若林は「漫才できないでそんな仕事しかないんだったらやらない方がまし」ということだった。
 何気ないつなぎのトークみたいだったが、そのあとのTAIGAさんとぺこぱの話とつながっているように思える。ネタを作る側の若林と松陰寺は、腹の中で漫才命と思っている。これに対して、演者である春日とシュウペイは演じられる場を確保しようと反射神経を働かせている。
 演者である春日とシュウペイは観客に近い。これに対して、作家である若林と松陰寺は、加えてTAIGAさんは、舞台裏に意識がある。観客とちがう位相にいなければならない孤独っていうのは常にあるんだろうと思う。ゲストがはけた後、若林は「フォローじゃなくTAIGAさんのネタはレベル高いと思う」と言っていた。
 ぺこぱは、この先、どの程度売れていくのかどうかまだわからない。M-1からまだ三ケ月なのだ。オードリーだってM-1のブレイクから一直線でここまできたわけではないのだし。しかし、この日の放送はちょっと特異なものだったと思う。ネットでいうところの「神回」?。