『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

ウルフ・オブ・ウォールストリート (字幕版)

ウルフ・オブ・ウォールストリート (字幕版)

  • 発売日: 2014/05/14
  • メディア: Prime Video

 自粛でどこにも出られない状態で過ごしているので、また、観たかったけどみのがした映画を配信で観る。
 今回は、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』と、ついでにおなじくマーティン・スコセッシの『グッド・フェローズ』も観た。
 『グッド・フェローズ』と『アイリッシュマン』って、ぼんやり見てると「リメイク?」って思っちゃいますね。
 で、そんなギャングの世界を描いて来た手慣れたタッチを、そのままウォールストリートの世界に使えるなっていう発見なのか。それとも、ウォールストリートについての映画を撮ってみたら、たまたまマフィアの世界に似てしまったのか。そんなわけないでしょ。狙いですよね。
 このタッチでほかの世界もいろいろ描けるのかもしれない。たとえば、これはじつは、前にも書いたけれども、この『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のレオナルド・デカプリオのしゃべり方に、『アートのお値段』のジェフ・クーンズがそっくりなんだ。
 デカプリオは演じてるんだけど、ジェフ・クーンズはジェフ・クーンズ本人だから。あの映画で見るかぎり、ジェフ・クーンズはアートを創るより、アートを売る方の才能が頭抜けているように見える。しかも、ジェフ・クーンズは工房システムで作っているから、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のデカプリオが立ち上げた会社をそのまま工房に移し替えて映画が出来ちゃうと思いますね。
 下の二つの予告編を見くらべてみましょう。片っぽがドキュメンタリーだって思わないくらいです。

 笑顔が似てる。
 それか、カラヴァッジョの伝記映画なんかもできるかも。カラヴァッジョは人を殺してるから、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』じゃなくて『アイリッシュマン』の世界だな。
 ところで、レオナルド・デカプリオとマーゴット・ロビーといえば、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を思い出してしまいます。
 あれは、クェンティン・タランティーノアカデミー賞を上げてほしかった気がするのですけど、下世話なことを言うと、ブラッド・ピットブルース・リーをコテンパンにやっつけちゃったじゃないですか?。そこに何か関係があったかもな。アカデミー会員が海外に広がったからね。
 マーゴット・ロビーはこのころはまだセクシーさが前面に出ている。この『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のあと、『スーサイド・スクワット』、『アイ、トーニャ』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、『スキャンダル』、そして、ことしまた『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』なんだけど、一回目のハーレイ・クインと二回目の間に大女優になりすぎて、もうハーレイ・クインはきつい気がするな。これはでも男目線か。
 この『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は観に行くつもりだったんだけど、見逃した理由は3時間という上映時間にびびって二の足を踏んでいたのも事実だった。
 映画館で3時間はきついのはたしかなんだよね。それでこうやって配信で観てしまうと、その楽ちんぶりにおどろくんだけれど、それで改めて思うのは、映画館というハードは映画というソフトとは別の魅力を備えていないときついと思いますね。
 この近所でいうと、やっぱりジャック&ベティは、そういう場の魅力を備えていると思う。あの界隈のちょっと猥雑な魅力もあるけれども、それだけではなく、服屋さんに例えると、ブランドショップではなくてやっぱりセレクトショップで、目利きって部分があって、ジャック&ベティでやってるなら面白いんでしょうという信頼があった。
 あつぎのえいがかんkikiなんかでも、あそこで『枝葉のこと』を観なかったら、二ノ宮隆太郎監督の存在を知らなかったろうし。
 Bunkamuraや岩波ホールはミニシアターとは言うより「メセナ」かもしれないが、ほかでやらない映画をやっている。
 渋谷でいえば、シネマヴェーラみたいに古い映画の特集上映とか。神代辰巳レトロスペクティブとか、宍戸錠特集とかしてたことあったでしょう。しびれますよね。ジャック&ベティでは「濱マイク映画祭」と銘打って、映画とテレビシリーズを一気上映したこともありました。
 ジャック&ベティは5月7日から再開予定だったそうだけど、この緊急事態の延長をうけてまたしばらく休館だそうだ。その間、オンラインシアターを立ち上げているけど、もろ刃の剣なのは、じゃあ、配信でいいじゃんってことになりかねないからね。

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