
アレハンドロ・ホドロフスキーの『エンドレス・ポエトリー』の独特な世界が気に入っている。あれは、詩人の自伝だった。今回のは詩人の対話編ってところかな。誰かが老詩人に言葉を求めに来ると、ホドロフスキーがそれに応じる。
冒頭、ホドロフスキー自身が、サイコマジックについて説明するときにフロイトに言及する。河合隼雄の箱庭療法とか、エリザベス・キューブラー・ロスとか、そういう世界に興味のある方は楽しめると思う。
アレハンドロ・ホドロフスキーは「サイコマジック」をセラピーのひとつと考えているみたい。しかし、それが同時に映画的でありうる確信がこの人のすごいところだと思う。
画面に映り込んでいる一般の人たち、「何だ、何だ?」という顔をしている人たちにはたぶんパフォーミングアートに見えていると思う。そして実際パフォーミングアートとしてみても最高に刺激的だと思う。
洞窟の壁に動物の絵を描いた人たちにとっては、芸術と呪術に違いはなかった。そういう根源的なところまで平気で降りていけるのがほんとうの芸術家なんだろう。
好き嫌いは分かれるだろうが、絶対に退屈はさせない映画だ。