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並河靖之の七宝は、当時パリで飛ぶように売れたそうだ。日本から船荷が着くと、港で待ち構えていたバイヤーが梱包さえ開けず、奪い合うように買って帰ったという。「もったいないほど売れた」と本人が当時を振り返って言っていたそうだ。
京都には並河靖之七宝記念館がある。地下鉄東山駅のすぐそば。かつての並河靖之邸で、庭は、明治の元勲たちの別荘を手がけたことで名高い「植治」こと七代目・小川治兵衛が手がけたもので「パリ庭」と呼んでいたそうだ。
並河靖之はジャパンニズム人気が下火になった頃を見計らってあっさり廃業して、娘さんに医者の婿養子を取らせて隠居していた。
この記念館がオープンしたのは2003年。それまでは、庭も所蔵品もほぼそのまま放置されていたそうだ。その話を聞いた時には、京都の奥深さに目を丸くした。
この香炉は、大正元年に本人から博物館に寄贈されたものだそうだ。並河靖之の七宝は、この作品も含めてすべて有線七宝である。そのためかえって繊細さが印象的になる。
同じく七宝で帝室技芸員となった濤川惣助の方は無線七宝で、こちらはほぼ絵である。