『ザ・エレトリカル・パレーズ』みました

 ニューヨークのニューラジオにハマっている。
 コロナ禍で吉本の劇場がいったんストップしたときに、出番のなくなった若手の芸人さんたちを一組か二組ずつ招いて、30分くらい話をしていたのがとても面白くて、続けてずっと見てしまう。
 その流れで、『ザ・エレトリカル・パレーズ』も観た。2時間越えの動画としては、異例の再生回数を記録しているらしい。映画祭に出品しようかといういきおいらしい。
 これの何が面白いかっていわれると難しいが、一つには、単純に「ばかじゃねぇの」っていう、その前に、説明しておかなければならないのは、「ザ・エレトリカル・バレーズ」ってのは、ニューヨークの2期後輩の東京NSCに通っていた、若手芸人というのもまだ芸人になっていないのでおかしいし、学生ってのもイメージが違うし、まあ、芸人を目指している人たちの内の何人かが作っていた団体の名称で、いったいそれは何だったのかを、ニューヨークが関係者にインタビューして突き止めていくっていうドキュメンタリーがこの動画なのである。
 10年も前のことなので、インタビューも、かかわり方の濃淡によってばらつきがある。何が面白いかっていうと、さっき言いかけたみたいに、単純に「ばかじゃないの」っていう気恥ずかしさとともに、NSCだけじゃなくて、今、お笑いタレントの養成所っていっぱいあるんだけれども、どういうところなのかって、想像してみないところじゃないですか?。
 それがこのインタビューのいろいろで、どういう人たちがどういう思いでいて、どういうことをしているのかってことがけっこうリアルにわかってくるのが面白い。と同時に、そこで「ザ・エレトリカル・パレーズ」がどんなに浮いていたかがわかるその相乗効果で面白さが増す。
 それでも、人によって受け止め方がちがうみたい。けっこう反響をよんでるみたい。私としては、こんなのが間近にいたらうざくてたまらんだろうなと思う。
 でも、これ、圧倒的にニューヨークのうまさなんだと思う。
 ここに出てくる芸人さんで私が知ってるのはニューヨークと空気階段のもぐらくらい。つまり、今年のキングオブコントの二位三位の2組。去年のM1と今年のキングオブコントを経て上昇曲線上にいるニューヨークのNSC愛みたいのが伝わるのがいい。
 ダウンタウンが2丁目劇場で売れかけた頃に、いろんな若手が同時に人気になった感じに似ている。そういうわっしょい感に同席しつつ、あの「エレパレ」って何だったの?って振り返る感じが面白いんだと思う。
 ニューヨークのニューラジオには、知らない若手がいっぱい来るんだけど、その話がすごく面白い。ニューヨークは去年のM1でファイナル最下位ながら、松本人志とのやりとりで話題になった。トップバッターでM1の空気を作ったのは偶然じゃなかったって、これが証明してる。
 いま、キングオブコントウイニングランの最中なんだけど、おぎやはぎのラジオに出たとき、たまたま石橋貴明の乱入にぶつかった。石橋貴明にしてみれば新曲を紹介させてもらうってことも兼ねてたこともあり、初対面のニューヨークに「ニューヨークも新曲紹介すれば?」みたいなけっこうな無茶ぶりをした。そのときのニューヨーク屋敷のかえしが「新曲ですか?。わかりました。それではお聞きください。新曲で『ジャマイカ』」。これはその前に石橋貴明が嶋佐だったか屋敷だったかの顔を「ジャマイカの野球選手みたいだ」といじってたのを振りにしている。タカさんも思わず笑ってた。
 「爆笑問題霜降り明星の心配ショー」に出た時も超おもしろかったし、「あちこちオードリー」に出た時もよかった。
 これだけテレビで傷跡を刻んでいると、この先テレビでどうのこうのよりも、今は、YouTubeの方に人が集まると思う。いまんところ、個人的に登録しているYouTubeチャンネルでいちばんよく観るのがニューヨークになっている。もう一つは、又吉直樹の髑髏万博先生かな。


ザ・エレクトリカルパレーズ