M-1 サイドストーリー

 ニューヨークのニューラジオのファンになって、その流れでM-1に突入したので、演者の目線にたちはしないけれども、その脇にいるような感覚だったので、ちょっとした群像劇を見るような体験ができた。
 今年はコロナ禍で、テレビゃ劇場など活躍の場を失った芸人さんたちが一気にYouTubeに流れ込んだ。そのせいで、今年のM-1に登場した漫才師さんたちにはだいぶ前からなじみになっていた。
 ニューヨークと同じく、ニューラジオを始めているオズワルドをはじめ、見取り図、おいでやす小田、マヂカルラブリーはニューヨークのニューラジオにゲストで来ていてサイドストーリーが面白かった。
 錦鯉は、霜降り明星オールナイトニッポン0にM-1決勝前日にゲストで来ていた。ウエストランド爆笑問題の火曜ジャンクで耳馴染みだった。
 コンテストそのものは水物には違いないだろう。決勝に残った10組は誰が優勝しても不思議ないレベルだったろうし、準決勝で敗れた人たちについても、例えばゆにばーすやキュウを伊集院光がラジオで取り上げていた。M-1後の感想がまた、去年は上沼恵美子のラジオで聞いたくらいだったのが、今年は、演者自身の感想をYouTubeで見られて面白かった。
 M-1の4分の漫才は、小説で言えばショートショート程度の漫才だと思う。本来なら15分とか20分くらいを演じなければならないはず。それは寄席でも単独ライブでもそうでなければ金が取れないと思う。最初のM-1を、創始者島田紳助が、10年で終わらそうとしたのも、4分の漫才が漫才の主流みたいにとられることを懼れたためだった。
 当時は、東京03バナナマンのようなテレビではなくライブで飯が食えるって状況が見えていなかったし、YouTubeで食える芸人もいなかった。島田紳助は、4分の漫才が漫才を歪めることを避けたかったんだと思う。
 しかし、今は、さま〜ずなんかがその走りだと思うが、芸人がライブで食えるようになった。初期のM-1と違って、今のM-1は、そういう若い芸人さんたちにとってのコンテストとして機能しはじめている。その他のコンテスト、キングオブコントやアールワンやザ・Wも、腕を競って夢を掴める場を提供している。
 5081組のエントリーということは少なく見積もっても一万人以上、全国民の1割が参加したことになるこのコンテストの人気は、逆に言えば、若者が夢を掴める場、夢を描ける舞台がいかに少ないかを表しているのかもしれない。
 こういう場がもっと多岐にわたってあればいいのにと思う。もちろん、M-1の人気を支えているのはダウンタウンの存在が大きい。もちろん、ダウンタウンの先には島田紳助オール巨人阪神がいて、その先には上沼恵美子がいて、その先には、というように背景にしっかりとした伝統があるのだけれども、やはり目に見えるビッグドリームとしてのダウンタウンの存在は大きい。
 コントの世界ではそれが東京03とバナナマンだと思う。東京のコントの背景にもコント赤信号コント55号、遡れば、エノケンロッパの浅草オペラにまでも遡れるのだが、伝統の方は後付けかもしれない。
 それよりも、目の前に夢を実現した人がいて、そこに至る道があるってことが大きいんだと思う。そういうことがあるM-1キングオブコントだけでなく、もっとたくさんあれば、世の中はもっと明るくなる気がする。
 今のところそれに近いのは、坂道グループなどのアイドルの世界、Creepy Nutsなんかのヒップホップの世界、村上隆が主催するカイカイキキなんかのアートの世界が近いのかなと思う。 
 まだブレイクしていない感じだけれど、今のM-1を支えているのは実は草の根のライブシーンだと思う。例えば、今回優勝したマヂカルラブリーにしても大宮ラクーン吉本劇場の存在が大きかったりする。
 これと同じようなことが芸能以外の分野でも起こりうるんじゃないかと思うし、そういう場を提供していくのが社会の役割なんじゃないかと思ってもみる。

【ゲスト:インディアンス&オズワルド】ニューヨークのニューラジオ特別編#4 2020年3月5日(木)

【ゲスト:マヂカルラブリー&金魚番長】ニューヨークのニューラジオ特別編#24 2020年3月25日(水)

【ゲスト:おいでやす小田&サンタモニカ】ニューヨークのニューラジオ特別編#19 2020年3月20日(金)

オズワルドのニューラジオ#27

ニューヨーク×見取り図 生配信(Zoom)2020.06.18