『コンテナ物語』

 この一週間でいちばん衝撃的だった動画は岡田斗司夫のこれだった。
 ただ、本を一冊まるまま読み聞かせた感もあり、これを聞いちゃうともうこの本を買う気になれないのは、安い本ではないので助かるには違いないが。
 岡田斗司夫がざっくり解説した内容をさらにまた解説する。
 第二次世界大戦が終わって、余った船を米軍が補助金付きで払い下げた。
 それをアメリカ人の運送会社のマク何とかいう人が貰い受けて、世界初のコンテナ船を作った。
 コンテナという発明の利点は、まず倉庫がいらない。船から直接トラックに積めばよいのだ。
 これで世界中の港から港湾労働者がいなくなった。NYでは、20万とか言ったかな?。膨大な数の失業者が街に溢れた。
 「ギャング」の語源は、船と港の岸に渡す渡し板のことなのだそうだ。
 ひとつの渡し板をひとつのチーム約25人で受け持って、ファミリービジネスとして代々受け継いできていた、腕っぷしの強い、親子代々で仲間意識を築いてきた、そんな連中が同時に大挙して将来を失って街に溢れた。
 70〜80年代のNYの怖さは、コンテナが作ったのだった。
 そして、港湾労働者といえば、武闘派ユニオンの象徴でもあった。彼らがストをすれば文字通り物流が止まり、経済が止まる。
 彼らが必要なくなったことで、労働運動は急速に勢いを失ったのではないかとおもった。
 日本との関係では、ベトナム戦争参戦をアメリカが決めた後、混乱を極めた物資の供給をまともに動かしたのもコンテナだった。
 さっきのマク何とかさんがベトナムにコンテナ用の港を築き、軍の物流を請け負ったが、港の建築費を負担したにもかかわらず、黒字が出たという。
 ベトナムへの補給船は帰りは空になる。この空のコンテナ船に積まれたのが、当時性能を高めていた日本製品だった。
 輸送費はすでに米軍が払っている。日本製品は、ほぼただの輸送費で米国市場に参入できた。
 日本製品が米国市場を席巻した主な原因はコンテナにあった。日本人は勤勉だ、とか、手先が器用だとかいう、そんな理由ではなかった。
 むしろその「勤勉神話」が日本人の権利意識を弱めたと言えるのではないか。その「勤勉神話」が日本人の労働意識、そして社会そのものを歪めた。
 コロナでひとり負けしている日本人のどこが勤勉でスマートなのか?。
 パンデミックの初期、日本人の感染者が何故か少なかったときに、外国高官との電話で麻生太郎は「日本人は民度が違う」と、バカを晒した。
 私たちがこういう政治家しか持たなかった原因の大きな部分はコンテナにあったわけ。
 多分、自民党に投票する人たちは、「日本人は勤勉だ」と信じ込んでる人たちだと思う。現実を変えていくより、耳に心地いい神話を聞いている方を選んだ人たちだろうと思うのだ。
 私たちの国は、今も昔もこの手の人たちに引きずられて落ちていく。そういうことなんだろうと思う。

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