統一教会問題は改憲論のノイズ

 辛坊治郎さんのYouTubeでの議論の推移を見ていると面白い。 
 7月12日、「看過できない朝日新聞素粒子」安倍元首相を揶揄」ってところ、安倍首相と統一教会とのつながりについて、こんな程度の認識で済ませようと思ってる人は現時点では多分いない。
 いちばん違和感を覚えるのは、「この程度のことは当然知ってるはず」という発言で、暗殺事件が起こった以上、ちょっと軽々しい発言じゃないだろうか。今までの認識がそうだったとしても改めて掘り下げてみるべきと誰もが思ったでしょう。それに、元首相がカルトの式典にメッセージを贈るってことだけでも、そんなどうでもいいこととは思えない。
 ただ、これが、7月18日には「人がひとり亡くなっている、人としてどうなのか朝日新聞川柳」という、要するに、情に訴える内容になり、7月20日には「議論をしようよ朝日新聞さん」と、呼びかけになり、7月27日には、もう章立ての中にもないので見逃しそうだが、
「このタイミングで、自民党統一教会の関係を言えばいうほど、殺人者の思惑通りになるので抵抗感があるのだけれども」
と言いつつ
「今回の事件がこの国で起きていたことをあぶり出す形になったことは否めない」
と発言している。
 7月12日時点では「おじいちゃんの知り合いの寄り合いにビデオメッセージを送っただけ」みたいな言い方だったのだから、これは事実上の発言撤回なんだけど、そう思わせない感じの言い方にしているのはさすが。ちゃんと撤回するだけ、今の政治家たち、あるいは報道関係者たちの中でも、飛び抜けて誠実だと言えると思う。それに、暗殺直後の報道で統一教会の名前が出ていないことを真っ先に批判したのも辛坊治郎さんだった。たぶん「朝日新聞憎し」の思いで変な具合になったんだろうと思う。
 立命館大学に山上徹也を義士と顕彰しようというビラが貼られて話題になったが、この統一教会問題の広がりを見る限り、結果的には義士と呼んでも別に間違いなさそう。
 自公政権は、日本会議創価学会、つまり、日本を破滅に導いた国家神道日蓮主義の再結託だと理解していたのだけれども、それに統一教会まで絡んでいたとなると、戦前よりさらに悪い。
 奇しくも今度の参院選で、改憲勢力が発議の条件となる3分の2(166議席)を維持して、岸田首相も「発議できる案をまとめる努力に集中していきたい」と語っていたのだが、統一教会関連団体の改憲案が自民党改憲案と瓜二つという記事がバズったりして、国民の間で(普通の国民の間で)、盛り上がってきた真面目な改憲論議、それは集団的自衛権などの議論を通じて、健全な政治論として醸成されてきた改憲の議論に、今回の統一教会問題は、水を差したという程度ではなく、軌道を狂わせるノイズを加えてきたといえるだろう。
 普通の国民は、ポスト冷戦の防衛問題として改憲論を交わしてきたはずだった。しかし確かに「家族は社会の自然かつ基礎的単位」などという条項は、いつの間にか混入していた感があった。防衛問題と何の関係もないからである。それがまさか、統一教会の案件であったとは。
 国民がまじめに憲法について議論してきたのに、実は、カルトが改憲を裏回ししていたとなれば岸田首相の言うような「発議できる案をまとめる」なんてことはとてもできそうに思えないが。
 


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↑ この発言が ↓ こうなる。

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