入管法改悪と労働問題

 今年の2月、野口悠紀雄が「雇用問題研究会」でした講演がアップされていたのでリンクしたい。
 考えてみれば当たり前なんだけれど、付加価値が増えていかないかぎり賃金は上がらない。言い換えれば、80年代と同じものを作り続けているだけなら給料は80年代のままである。
 その同じものを中国が安い労働力で作り始めたのであれば、先進国は中国とは違うものを作り始めなければならない。
 これに成功したのがアメリカと韓国であり、失敗したのが日本だと野口悠紀雄は言っている。そして、その“象徴的な”例がwinny開発者の金子勇さんの逮捕であり、ホリエモンの逮捕だろうと私は思う。
 下の動画の1:00ごろ「みんなで貧しくなろうという選択もありますが・・・」という話をしている。しかし、それこそディストピア世界の理想だと思う。リンカーンの言葉に「金持ちを貧しくしても貧者は豊かにならない」というのがあるが、もし、みんなで貧しくなるのがディストピアの理想なのだとすれば、貧者が豊かにならなくても金持ちを貧しくする選択しかない。
 ユートピアと同じくそのディストピアも実現しないだろう。金持ちは富に縋り付くだろう。であれば、貧しくなるのは貧者のみだろう。
 そして、おぞましいのは、その反映として、移民の排斥が起こらざるえない。
 入管法の改悪は実のところ、このマインドの反映だと見える。本来なら労働人口が増えることは歓迎すべきことのはずなのである。なぜ排斥に向かうのかは、考えてみると、かなり謎の心理だった。不気味と言ってもいい。
 しかし、この不気味さの背景に、役人の「みんなで貧しくなろう」あるいは少なくとも「庶民はみんな貧しくなれ」というマインドがあるのだとしたら納得できる。
 外の世界を見ず、日本人だけで固まって貧しくなっていきたい。そこに、貧しさから脱却したい人たちが混じってくることがイヤなのだろう。
 日本というぬるま湯に日本人だけでいたい。これがまあ自公政権の目指すディストピアであるらしい。


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