『イビルアイ』ネタバレ(孫引きだけど)

 主人公の少女は、病気がちな妹にばかりかまう両親に疎外感からくる反発を覚えている。妹の病気がいよいよあやしくなり、普段は疎遠にしている祖母の田舎に、一縷の望みを託して訪ねていこうとするところから映画は始まる。
 こういう始まり方をされちゃうと、観客はいきおい教育心理学的な目線で主人公を見ちゃう。思春期の少女にありがちな態度だなあ、やれやれって感じで見始めてしまう。
 なんで、くだんの祖母が少々偏屈、あるいはそれを通り越して明らかに変でも、このうざい孫相手だとしょうがないかなって気になってしまう。
 M・ナイト・シャマラン監督の『ヴィジット』なんかもうっすら思い出して、この婆さんおかしいのかな?という疑いを抱きつつ、それにしても病気の妹を引きずって逃げ回っちゃまずいだろうって思いもあり、やっぱ、この子がおかしいんじゃない?とか、その辺の、揺れがシーンごとにすごく上手くコントロールされてる。
 メキシコって、死者の日の風習とかを見ても、キリスト教文化とは違う独特の文化があってすごく興味深い。
 主要な登場人物が全て女性なのも効果的だと思う。怪異譚なのにどこかセクシー。女性は男にとって永遠にミステリーであり続けるのかどうか知らないけど、そんなふうな男の立ち入られない世界みたいな幻想を見せてくれる。

 以下ネタバレ。
 シネマサロンの解説を聴くまで気が付かなかったが、他の人のレビューを見ても気がついてない人が多いみたいなので、敢えて書き足しておくと、魔女伝説の三つ子の2人があの母親と祖母なのだ。母親がうっかり祖母を名前で呼んでしまうシーンがある。直後に主人公が母親を名前で呼ぶと「母親を名前で呼ぶんじゃない」と叱られる。
 もともと三つ子なので、若返った祖母が母親と入れ替わっても誰も気が付かない。下手すると観客も気が付かない。そこは気がついても、この祖母と母親が伝説の魔女の生き残りなんだってとこまではなかなか気が付かないと思う。
 よくできたシナリオ。アイザックエスパン監督すごい。


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