「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?—国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」

 という長いタイトルの展覧会が国立西洋美術館で開催中。
 国立西洋美術館が現代美術を展示するのは珍しい。ゲスの勘繰りとしては、円安と予算縮小でいよいよ海外の作品が借りられなくなったのではないかと思われる。
 しかし、結果的にすごくエキサイティングな展示になっていた。

「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?—国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」
「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?—国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」

 美術史的な問いかけも意義があると思ったが、正直言ってそれよりも、弓指寬治のまったく美術史を無視した展示の辺りから面白くなってきた。

弓指寬治
弓指寬治

 
「昔から上野公園にはブルーシートの小屋がたくさんあってホームレスの 方が住まわれていたのですが、ここ15年ぐらいの間にめっきり見なくな りました。上野公園はどんどんクリーンになっています。長年、美術館 に勤めながらその方達の存在を知ってはいたのですが何の接点もなく、 我々はこれまでずっと彼らに対して見て見ぬふりをしてきたように感じ ています。少なくとも私はそうでした。今回の展示で弓指さんにそのことについて触れてもらえないかと思っています。どうでしょうか?」と、「国立西洋美術美術館の学芸員の新藤さんから展示の依頼が届いた。」そうだ。

 弓指寬治は、「上野と同じく路上生活者が少なくない山谷 地区におよそ一年通い、そこで暮らすひとびと、あるいは彼ら一彼女らを支えている方々とこのうえなく丹念にコミュニケーションをとり、上野公園での アウトリーチにも参加してきた」そうだ。
 ただ、この辺から展示がカオスになってきて、うっかり誰が誰の作品かわからなくなってしまった。

おにぎりを持って会いに行く何てお呼びすればいいですか?モネ
この辺は、弓指寬治の絵なのだと思う。
でも、この辺は違う気がする

 セロテープアートだと思うが、記憶の片隅にこれが誰かの作品だった気がする。

斎場での風景
それから、これらの印象的な布の絵は

「物語るテーブルランナープロジェクト」は鴻池朋子さんが始めたプロジェクトです。個人が体験したことを語る「語り手」とその話を元に下図を描く「描き手」その下図を元に手芸する「縫い手」によって1つの作品が仕上がります。」

 それから、パープルーム(Parplume)というアーティスト・コレクティヴの展示もカオスで面白かった。

ピエール・ボナールの絵を囲繞しているこれらの絵は

安藤裕美という人の絵らしい。

星川あさこ《存在の枠組み》
星川あさこ《存在の枠組み》

と同じく

星川あさこ《手》
星川あさこ《手》

もよかった。

掲げられている「モットー」が楽しい。
坂本夏子/梅津庸一《絵作り》
坂本夏子/梅津庸一《絵作り》