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愛について語るときに我々の語ること THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER〈2〉
- 作者: レイモンドカーヴァー,村上春樹
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1990/08
- メディア: 単行本
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村上春樹がレイモンド・カーヴァーを日本に紹介し始めたころは、「なんかかわった作家に入れあげている」みたいな感じだった。それが今では両者とも世界的著名人だ。世界は案外あっけなく変わる。私の知らないどこかで今もたぶん新しい努力がなされているのだろう。
「私の父が死んだ三番目の原因」という短編が気に入った。運命の力強さみたいなものが、視覚的に表現されている。読み終わったあとも、荒れ模様の空と渦巻く魚の群れが残像に残る。
このシリーズはひとつ読み終えるごとに、巻末の解題を参照するのも楽しい。自分が読んだ本について、ほかの人が何を書いているか読むのは楽しい。議論するのはうっとうしいから、ブログの書評なんかを渉猟するのはなかなか快適である。
「足元に流れる深い川」は以前読んだものと結末が違っている。こちらは突き放している。別のは余韻が残る。私は別バージョンが好き。
「風呂」は「ささやかだけれど役に立つこと」のショートバージョンで、これに関してはカーヴァー自身が「ささやかだけれど・・・」の方を決定稿としていたそうだ。
自分の作品の改作ということで連想されてしまったのが、井伏鱒二の「山椒魚」。井伏氏はあの有名な短編を晩年の自選全集で改作してしまった。当時話題にもなったし、野坂昭如氏が批判していたりしたが、私としてもむかしのほうが好きだ。作家の心境に何があったのか、なかなか分からないものだ。
今年は暖房にエアコンを使っているので、昨日思いついて、ペットボトル加湿器を買った。すぐなくなってしまうのは難点だが、快適である。