頼むから静かにしてくれ

頼むから静かにしてくれ (THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER)

頼むから静かにしてくれ (THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER)

三連休であった。いざ三連休になるとずっと「ヤスミ、ヤスミ」と思いつめた来たのが、あほらしくなってしまった。三日もひとりでいられるのが最大の贅沢だ。ひげもそらず引きこもって暮らすのだ。
そう書きながら、「大丈夫かなぁ?」「仕事に戻ってから、落ち込まないかなぁ?」と気にしてもいる。
前の『法然』にくらべて、この休みに読むのにふさわしいかどうか迷うところだが、レイモンド・カーヴァーの初期の短編集を読んだ。読みようによっては、落ち込んでしまう。

幸福な人々は、不幸な人々が沈黙のうちにその重荷を背負ってくれればこそ、心安らかに生きていけるのである。もしこのような沈黙がなかったなら、世の中には幸福なんていうものは存在しないだろう。社会全体が催眠術にかかっているようなものなのだ。すべての幸福で満ち足りた人の家の扉の外には小さな木槌を持った男がいるべきなのだ。

解説に引用されているチェーホフの言葉。
わたしは常々思うのだけれど、魚に声があれば、川釣りはたちまち阿鼻叫喚なのである。
幸福ってヤツは、小さなヤツで我慢しておこうと思えば、そのへんに転がっているし、大きなヤツを追い求めると、大きな不幸が戸口に立つ。その上、大きなのも小さなのも、価値においてはそんなに違いがない。あまり追いかけ甲斐がないと思っている。