日本橋バビロン

日本橋バビロン

日本橋バビロン

うちから上野までいくのに、今回は小田急代々木上原までいき、そこから千代田線で表参道、そして銀座線に乗り換えた。銀座線は、ちょうどこの『日本橋バビロン』の舞台を走っている。
この本を執筆する机の傍らに井伏鱒二氏の『荻窪風土記』を置いていたそうだ。わたしは井伏鱒二自選全集を『黒い雨』をのぞいてすべて読んだので、『荻窪風土記』も読んでいるはずだが、あまり印象に残っていない。ほかに印象に残る小説が多すぎるからである。ちなみに『黒い雨』は文庫で読んだ。
しかし、同じく「創作ノート」で触れている北杜夫の『楡家の人々』は、今でも登場人物を憶えている。あの延々と続く年代記を読むのはたしかに楽しかった。
楡家の人びと (上巻) (新潮文庫)

楡家の人びと (上巻) (新潮文庫)

楡家の人びと (下巻) (新潮文庫)

楡家の人びと (下巻) (新潮文庫)

日本橋バビロン』はあえて年代記にならないように気をつけたそうだ。東京は、明治維新関東大震災東京大空襲、そしてバブルの地上げで自分自身の過去をほぼ抹殺した。京都だって、平安のおもかげを今に残しているはずはないけれど、東京の場合はほぼひとりの人の人生と重なる程度の期間にこれだけの変化が起こったのである。
そして、どうやらこの先もやり続けるつもりらしい。東京はそういう町だと思っておけばいいのかもしれない。世代が受け継がれない町。親と子が共有できるものが何もない町。悪くもないんじゃないか。

今朝の新聞でまた少し様子が知れた。
帰宅して小沢一郎辞任を知ったのはフジテレビである。

民主党小沢一郎代表が4日夕、都内の党本部で行った辞任表明の記者会見で、冒頭読み上げた「中傷報道に厳重に抗議する」と題したコメントは以下の通り。

 中傷報道に厳重に抗議する意味において、私の考えを申し上げる。福田総理との党首会談に関する新聞、テレビの報道は、明らかに報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、私は強い憤りをもって厳重に抗議したい。特に11月3、4両日の報道は、まったく事実に反するものが目立つ。私のほうから党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、果ては今回の連立構想について、小沢首謀説なるものまでが社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根だ。
 もちろん党首会談および会談に至るまでの経緯と内容について、私自身も、そして私の秘書等も、どの報道機関からも取材を受けたことはないし、取材の申し入れもまったくない。それにもかかわらず、事実無根の報道が氾濫(はんらん)していることは、朝日新聞日経新聞等をのぞき、ほとんどの報道機関が政府・自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一翼を担っているとしか考えられない。それにより、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な誹謗(ひぼう)・中傷報道であり、強い憤りを感ずるものだ。
このようなマスメディアのあり方は明らかに報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思う。報道機関が政府・与党の宣伝機関と化したときの恐ろしさは、亡国の戦争へと突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかだ。また自己の権力維持等のために、報道機関に対し、私や民主党に対する誹謗中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥ずるべきところがないか、自分自身によくよく問うてみていただきたい。各種報道機関が1日も早く冷静で公正な報道に戻られるよう切望する。以上だ。

この報道機関が具体的にはフジテレビをさすことは一昨日書いた。それであわてて特番を組んでいたらしい。個人的にはオウム事件でテレビは報道機関として死んだと思っているし、たしかにゾンビに見えるアンカーマンがいないでもないが、しかし、これをこのまま放置していいのかどうか。
ひまだったころは、ぼんやり国会中継など見ているときもあったので、夕方のニュースがまるでニュアンスを変えて報道しているのを見てあきれたりしていたが、そんなにヒマではない人がほとんどだし、どこまでが嘘でどこまでがほんとか分からないニュース番組では、わずらわしいのも事実である。
うがった見方をすれば、テレビの側でもあまり信用されても困ると思っているので、漢字の読めない女子アナを大量に雇用するのではないだろうか。
小泉純一郎がすぐれていたのは、国民が報道機関をほぼ信じていないことを充分に知っていた。今回のは、虚偽の報道であるから、また意味が違うが、郵政選挙のときの中傷報道は人権問題になると思うものもあった。しかし、結果はご存知のとおりである。
いまだに自分たちが情報操作が出来ると信じている報道関係者はこっけいである。亀田一家さえまともに操れないのではなかったのか。情報操作できるくらいなら、視聴率に胃が痛くなることもないはずである。例えば今回の件に関して言えば、視聴者にはフジテレビが自民党の意向に沿って情報操作をしようとしたという事実が見えただけである。