しもじもの私たち

13日の小泉発言以降、麻生太郎鳩山邦夫デュオから「郵政4分社化見直し」の合唱がぴたりととまった。「そんなこと言ってましたっけ?」くらい。
「郵政4分社化」は、ほかならぬ自公政権が選挙に掲げた公約であるのだから、粛々と実行するのが彼らの勤め。それをなぜふざけたことをいい始めたのか。実はそのこと自体が、麻生政権の本質を示している。
この政権は既得権益の利益を代表する政権で、国民全体の利益は二の次、考えてみれば、旧来の自民党の姿に立ち戻ったに過ぎないのだけれど。
新聞によると、旧郵政公社時代に不当に安く売却された事例が次々と明るみに出てきているようだが、旧郵政公社の社長は西川氏じゃないよね。
麻生太郎は初出馬した選挙の演説で、支援者に向かって「しもじものみなさん・・・」と話しかけた、そういう種類の人間だが、鳩山邦夫はおそらくただのバカではないだろうか。
郵政民営化つぶしのために「かんぽの宿問題」を利用しようとしたのはいいが、括弧つきではないほんとうのかんぽの宿問題の構造は、グリーンピア問題とまったく同じ。本気でそれを追求していけば、旧郵政族議員や旧郵政官僚の責任に問題が波及するに決まっていた。
「売値が安すぎる」、「売却方法が不透明だ」→「郵政4分社化見直し」という「→」は脈絡がなさすぎる。しかし、これまでの流れを見ていれば分かるとおり、鳩山邦夫はその「→」を強引に突き進もうとした。本人がバカでないとすれば、よほど「しもじもの」我々をバカにしているらしいが、残念ながらそうはいかなかったようである。
現状、「かんぽの宿問題」は、「売値が安すぎる」、「売却方法が不透明だ」→「売却の白紙撤回」→「売却方法の見直し」という至極まっとうな道筋で進んでいる。
この「→」をどこまで延長していけば「4分社化見直し」につなげられるか知らないが、それより旧郵政事業の実態が明るみにでる方が早いかもしれない。ただ、それまで鳩山邦夫総務大臣でいるかどうかは微妙だ。
一番ありそうなのは、このままうやむやになってしまうことだろう。何度も言うように、麻生政権の至上の目的は「改革の骨抜き」である。既得権益の、既得権益による、既得権益のための政治、それが麻生政権だ。
かんぽの宿」が「4分社化見直し」につなげられない以上、鳩山邦夫には、もはやこの問題に取り組む動機がない。それでもまだこの線で攻め続けるしかないのかな。内閣支持率から見ればお尻に火がついているのだけれど。