家族写真

短編集 家族写真

短編集 家族写真

辻原登の短編集。
この作家は、「ジャスミン」や「花はさくら木」のようなスケールの大きな長編も書けば、ピリッとした感じの短編もものする。ちょっと癖になる感じの作家である。個人的には村上春樹より好きだろう。
(そういえば最近、村上春樹を読んでいないな。同じ職場の人がつい先日『ノルウェーの森』を読んだそうだが、あんまりぴんと来なかったとか。
私が読んだのもブームよりはるかに後だが、それでも10年以上前になるだろうか。今読んだらどう思うかわからないけど、あのころ感動したことを取り消すつもりもない。
余談になるが、中国では「IQ84」の版権争奪戦が過熱しているとか・・・。)
「家族写真」
「わが胸のマハトマ」
「谷間」
「光線の感じ」
「緑色の経験」
「塩山再訪」
「松籟」
の七つの短編からなる。
「谷間」で扱われている事件は、この作家の短編に時々出てくるが、解決不能な数学の難問みたいな事件。
「塩山再訪」の、上ってきた坂を振り返った瞬間の描写が見事だと思う。