折れた釘

そろそろ年の瀬も押し詰まり、今年の映画ベストテンみたいな企画が思い浮かぶが、私の中で、かなり上位にくる映画に「インスタント沼」がある。三木聡監督は今後アレを越える映画を作れるのだろうかと、心配半分、期待半分なのである。
映画の中で重要な役割を果たす小道具に‘折れた釘’があるのを、あの映画を観た人なら憶えておいでだろう。
それを久々に思い出したっつうのは、土曜日に見た柴田是真の分銅形の煙草入れのひとつに、その名も<古釘文煙草入>というのがあったからだ。
これは、うっかり見過ごすと、ただ端っこが少しかけている木の箱みたいなのだけれど、よく見ると、折れた釘の模様がただ一本浮き彫りされている。
粋なもんだ。