サイモン・フジワラ「ホワイトデー」

knockeye2016-01-22

 初台のオペラシティ・アートギャラリーで、サイモン・フジワラの「ホワイトデー」てふ展覧会がやっている。これは、前から楽しみにしていて、この日曜日に出かけた。サイモン・フジワラとフィオナ・タンは、ともかく観て面白いのです。現代アートって「あーたたちには分からないだろうけどね、これがアートなんだよ!」みたいな態度じゃん、だいたい。だけど、この二人にはそういう臭みがない。
 今回の展覧会も、入り口からもう演出が始まってる。「おもてなし」ですよ。御茶会にいくときに、ちゃんと打ち水がしてあるって、そんな感じ。そういうところで、ブサイクなことしかできないならやらなきゃいいじゃん。何か伝えることがあるなら、そのスタイルも洗練されているべきじゃないですか。「すべてのやる価値があることは、ちゃんとやる価値がある」でしょう。
 そうはいいつつ、「しかし、芸術の内容と形式の関係は、それ(骨組みと粘土の関係)とはちがう。内容にすみずみまで浸透せられ、それ以外には動かしようもないものとしてしか芸術の形式は存在しない」という、吉本隆明のことばを戒めと念頭に置きつつも、暗い通路を曲がって、展示室にはいると、やっぱり、その空間構成の力は圧倒的だと思う。
 よく設えられたお茶席のようでもあるし、回遊式の庭園のようでもある。ひとつひとつの展示品の関係性とか連続性まですごくよく考えられていて、音楽にたとえると「コンセプトアルバム」みたい。どんなにキュレーションのよい展覧会でも、ここまでの構成はできないと思う。
 モニターに流されている映像作品も、テレビのしょうもないバラエティーよりはるかに面白い。今、世界の美術展の最先端をいっているトップランナーなんだろうと思う。美術に興味がある人なら絶対観るべきだと思う。