「ペイ・ザ・ゴースト」

knockeye2016-10-29

 ニコラス・ケイジの映画は、なるべく観たい。「魔法使いの弟子」とか、「キック・アス」とか、「ゴーストライダー」とか、おしりの軽い感じがよい。けど、いつも上映館が少ない。この「ペイ・ザ・ゴースト」も渋谷まで観にいかなきゃならなかった。
 今回のは、ハロウィン映画なので、配給側も迷ったのかも。クリスマスならともかく、ハロウィンって、日本でどのくらい受け入れられてんの?。まあ、渋谷近辺で騒いでるだけだろっ?、じゃ、渋谷の映画館で、ってなったのかも知れません。
 ニコラス・ケイジの息子を演じているのは、「ルーム」の子。監督のウリ・エデルは「バーダー・マインホフ」を撮った人です。ドイツの過激派の話なんだけど、この映画が公開されるまで、そんなものがあったことすら知らなかった。観ませんでしたけど、そういう人がハロウィーンのお化け映画に手を抜かないのが頼もしい。途中で一回「わっ」ってなっちゃいました。ゲーテの詩にシューベルトが曲を付けた「魔王」について、「彼らが目指したのは、君らをおもっきりビビらすことだ」ってニコラス・ケイジの大学教授がいうんです。まんまとやられてしまいました。
 私自身は、ハロウィーンと聞いて思い出すのは、ジョン・アーヴィングの『ホテル・ニューハンプシャー』で、主人公のお姉さんがレイプされる日だっていうのと、昔、日本人留学生が44マグナムで撃ち殺された日だっていうの。あ、まあ、みんなは楽しんでもらえればいいんですけどね。
 石内都フリーダ・カーロのドキュメンタリーにも出てきましたが、メキシコには「死者の日」っていう、ほとんどハロウィーンみたいな祭りがあります。でも起源は西欧文明がアメリカ大陸に上陸するよりはるかに古いそうです。
 ハロウィーンそのものもキリスト教より起源は古いですし、日本のお盆だって、仏説盂蘭盆経が起源のように言われていたんですけど、今では、盂蘭盆経自体が偽経だといわれていて仏教とは無関係のようです。
 春画展がイギリスで開かれて、物議をかもしたわけでしたが、とくに「性を笑う」ことが、新鮮に感じられたりしました。ハロウィーンは、はっきり言って、去年から流行りだしたと断言しときたいんですけど(おととしはバナナマン設楽さんが「ハロウィーンっていつだっけ?」と言ってました)、「死を笑う」っていう西洋の祭りも、わたしにはずいぶん新鮮に思えます。