『マッシブ・タレント』

 今週末は、東京モーターサイクルショーに加えて、よい映画が多かったので何から書くか迷うんだけど、まずはこれじゃないかと思う。
 ニコラス・ケイジの作品なら何でも観るって映画ファンは多いんだと思うが、まあ当たり外れの多いことには違いない。それは、彼がほとんど作品を選ばずオファーを受けているせいではないかと思うのだけれど、そのおかげで『キック・アス』みたいな怪作が生まれることになるのだからなかなか目が離せない。
 確かにひどいのもあるのだけれど、それはまさにニコラス・ケイジが観客の肩に置いた「the unbearable weight 」だと思うべきかも。たとえば『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』は酷かったし、『プリズナー・オブ・ゴーストランド』は、園子温×ニコラス・ケイジでどうしてこうなるの?っていう映画だった。シナリオは園子温ではなかったのが唯一の言い訳になろうけれど、あの後にセックス・スキャンダルが続くと庇う気が失せるのは確かだった。
 とは言え、最近の『PIG/ビッグ』はオバマ元大統領が2021年のお気に入りのひとつに数える佳作になり、カムバックの兆しを見せていたのである。こういうことを言うとnever gone anywhere(どこにも行ってないけどな)と言われそうだが。
 しかし、この『マッシブ・タレント』は、『PIG/ビッグ』とは比較にならない、ニコラス・ケイジ愛に満ちた、ニコラス・ケイジによるニコラス・ケイジのための映画。
 というのも、ニコラス・ケイジニコラス・ケイジ自身を演じている。いわゆるメタ構造の作品で、ニコラス・ケイジの映画で言えば『アダプテーション』を思い出させる(?)。
 あらすじの発端は、ニコラス・ケイジがどこかの富豪の誕生パーティーに招かれる。この人が半端ないニコラス・ケイジのファンということもあり、意気投合して滞在を伸ばすことにしたところ、CIAにスパイの依頼を持ちかけられる。かの大富豪は麻薬取引の大物で、ニコラス・ケイジが滞在している屋敷のどこかに市長の娘が拉致されているはずだという。この発端だけでもう。
 
 


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