「湯を沸かすほどの熱い愛」

knockeye2017-01-10

 「湯を沸かすほどの熱い愛」って映画をみた。ちょっとウエルメイドなところはあるけど、宮沢りえの存在感で押し切った。
 宮沢りえは、「紙の月」のときの「大丈夫?」って感じがウソみたいに「よい出来」だった。それは、やっぱり、今のあのスキニーな体型に合う役と合わない役があって(あの時は書かなかったけれど)、年下の男(池松壮亮)と不倫しつつ、銀行の金を横領しつつ、爺さん(石橋蓮司)に色仕掛けしようという女には、もう少し肉のだぶつきがないと、説得力がない。その点、今回の役は宮沢りえにピッタリかそれ以上だった。
 話の筋にアラがないわけではない。特に、篠原ゆき子(「共喰い」、「二重生活」の)のエピソードは、サラッと通り過ぎてるけど、その説明の部分が一番の弱点だと思う。そこが弱いんで、オダギリジョーの存在感まであやふやになっちゃう。
 そこを力技で寄り切れたかどうか、物言いがつくとしたら、そこだと思う。
 これは、オリジナル脚本だが、もし、原作に小説があるなら、そこは、長いエピソードになりそうだし、映画にするとき端折っちゃったんだなって、多分そう思われるくらい、映画的に弱い。
 しかし、わたしは批評家じゃないんで、目をつぶっちゃいますけどね。
 ちなみに、宮沢りえはこの映画で「キネマ旬報」の主演女優賞を獲得しています。映画自体もキネマ旬報ベストテンの7位に評価されています。
 この月末に、本厚木の映画.comシネマで、この映画と、中野量太監督の旧作「チチを撮りに」が併映され、監督の舞台挨拶もあるみたいです。