『108 海馬五郎の復讐と冒険』で、行儀の悪いオトナを満喫


星野源、主題歌「夜のボート」入り映画「108~海馬五郎の復讐と冒険~」の特別予告編公開

 中高年のセックスは笑える、という、しごく健全な映画が作られる、実によろこばしい成熟社会の到来を予見させる、松尾スズキの新作。「シモキタ的なのり」っていう言葉は、どちらかというと、こういう場合に使ってほしい。
 中山美穂秋山菜津子、坂井真紀、大人の女優陣のカラダをはった演技はどうどうたるものだった。
 ただ、日本の性産業はもっとディープだという、国際的期待と信頼には応えきれていないと感じた。
 弱いなと感じたことを言っておくと、メインプロットのドライブになっているはずの中山美穂のエピソードがおとなしすぎるんじゃないかと思った。
 先達には、金子光晴と森三千代のようなぶっとんだ夫婦もいたことだし、おなじくフランス在住の体験もある中山美穂なら、もっと「フラッパー」なノリでやってくれた方が、ファンも喜んだんじゃないかと思う。もっとも、『新しい靴を買わなくちゃ』なんかより断然よいのは言うまでもないけど、もっとガンガンやってくれちゃってほしいんすよねぇ、中山美穂先輩には。いまさら遠慮したわけじゃないと思うけど、オチが弱くなっちゃったかなぁと思う。
 それから、映画内で進行中の、海馬五郎原作のミュージカルも、もっと見たかった。
 でも、なんかひさしぶりに行儀の悪いおとなを見られてうれしかった。特に、秋山菜津子がおいしい。たぶん、中山美穂はくやしいよね。
 主題歌は、大人計画つながりで星野源星野源がまだいまほど大スターじゃなかったころに、坂井真紀と『ノン子36歳(家事手伝い)』て映画に出てたんですよ。こんなに売れるとはな。宮藤官九郎監督の『少年メリケンサック』にもちょい役で出てました。佐藤浩市にボコボコにされてた。
 松尾スズキの前作『ジヌよさらば〜かむろば村へ〜』が、わたしはすごく好き。松たか子松田龍平二階堂ふみ阿部サダヲ西田敏行。オススメ。

少年メリケンサック

少年メリケンサック