太陽の塔のアンガージュマン

 新コロナの感染拡大を防ぐためにつづいている自粛の出口戦略について、大阪モデルとして吉村大阪府知事が、太陽の塔をライトアップしてその目安とすることに決めた。

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 目標数値を決めて、その数値の達成状況によって、赤~黄~緑と変化していくライトアップが太陽の塔を照らすそうである。
 本来なら5月7日で終わるはずだった自粛期間がまた1か月延びたわけだから、これがいつ明けるかの目安を示すという意味で、こういう視覚的な効果は一般市民の心理に働きかける有効な政策だと思う。こんなことでも、何とか頑張ろうという気になる。
 このコロナ禍が生活に影響を及ぼし始めてから、ちょっとだけ気にかかっていたことは、アートは、こういうとき結局無力なんだなということだった。それは、もちろんしかたないことだけども、星野源とか、山下達郎とか、ミュージシャンのひとたちは、いろいろなかたちで社会貢献をしている一方で、画家はこういうとき何もできないものなのかなと寂しく思っていた。
 しかし、この太陽の塔は、言うまでもなく、岡本太郎の傑作で、これがここにあったことが、希望の具体的なかたちとなっていることは、心底嬉しく思った。
 太陽の塔は、一時は解体しようという話もあったそうだが、あれがあそこにあり続けてよかった。
 アートって、まあそういうものなのかもしれない。普段何のためにあるのか分からないし、今も、別になくてもいいのかもしれないが、でも、あってよかったと思えるわけだから。
 太陽の塔のライトアップが一日も早く緑色になって、自粛が解除される日が来ることを願いたい。