『パブリック 図書館の奇跡』

 エミリオ・エステベスが監督、脚本、主演した『パブリック 図書館の奇跡』は満席だった。2018年の映画で、このコロナ禍がなければ日本では上映されなかったかもしれない、すがすがしいほど低予算の映画だった。大寒波の夜が全然寒そうに見えないです。お金がないんだね。セットが組めないので、実際の図書館を借りて撮影したんだそうだ。
 大きい筋書きを言うと、大寒波の夜にホームレスたちに一夜の宿を提供しようとする図書館員が、人質をとった立てこもりと勘違いされて・・・という話。
 この原題は単に「パブリック」で、奇跡云々はない。「パブリック」って考え方が日本にはない。だから、これが奇跡になっちゃう。これがまずいんだと思う。個人と国家のどちらにも属さない「パブリック」という領域がないと、個人は国家に隷従しません?。ホントは個人も国家もパブリックの中では平等なんですよね。
 この映画がスマッシュヒットしてるのは、フレデリック・ワイズマンの『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の残響なんじゃないだろうか。
 あの映画の中でも、ホームレスの人たちをどう扱うべきかが議題になったシーンがありました。

 この『パブリック 図書館の奇跡』を観て、『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を観てないって人がいたら、ぜひこちらもオススメです。

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映画『パブリック 図書館の奇跡』予告編