消費税増税法案が通ってしまった。
これについてはちょうど1週間前に書いたことの後始末としても、一言触れないわけにはいかない。
先週書いたとおり、否決しさえすればもう解散だったのである。つまり、自民党は事実上解散権を手にしていた。これをみすみす手放すとは。
消費税率10%がもともと自民党の案だということを考えれば、自民党が増税に反対しにくいのは理解できるが、ただ、実質、消費税増税法案にすぎなくても、表向きは、何とかと何とかの一体改革法案という、周知の通り、これのどこが一体改革なのかわからない、あらだらけの法案なのだから、いくらでも突っ込めるのだし、どんな難癖をつけても解散させるべきだった。
難癖というと言葉は悪いが、選挙の争点と言い換えることもできる。国民の意見を二分している消費税増税をめぐる論点は、増税後の税の使われ方なのだから、そこに、国民の納得できる争点を提示できれば、勝機は充分にあったし、むしろ、それこそが野党に求められる役割であるはずだ。
解散総選挙となれば必ず民主党は負けるのだし、そのあと、改めて自民党で消費税増税法案を出し直せば、今度は、逆に民主党は反対できなくなる(もちろん、反対する可能性もある。しかし、そこまで手のひらを返すようなら、この政党はもう次の選挙まで存続していないだろう)。
そうすれば、解散も増税も自民党主導で執り行えたのである。
ところが、谷垣禎一の選択は、解散も増税も、とっくに死に体になっている野田政権にゆだねることだった。
これでは、談合宣言も同然で、国民の目には、自民党も民主党も、もちろん公明党も同じ穴の狢にしか見えない。
今の自民党執行部には、ちょっと力量に疑問を感じる。