『ジョン・コルトレーン:チェイシング・トレーン』

 ジョン・コルトレーンは生来が宗教的な人だったようだ。世俗的な成功に喜びを見出せない。どの写真を見てもそんな顔をしている。源氏物語に例えるなら宇治十帖、マイルス・デイビス光源氏とするなら。日本での根強い人気にはそういうムードがある。受容のされ方が宗教的でさえある。下の動画で、タモリが「きらい」と言っているのも、そういう日本での受けとりかたに対する反発があると、本人もそう語っている。
 わずか40歳で亡くなっている。肝臓がんだった。若い時の麻薬の影響は誰もがそう考えるだろう。マイルス・デイビスのバンドを辞めさせられた時、自力で抜いた。が、身体への影響は免れなかったのだろう。
 そういう最晩年に来日して17日で16公演したそうだ。その合間に長崎の原爆爆心地の慰霊碑に献花している。チェ・ゲバラといい、そういうことをする人は理想主義者なのだろう。音を聞いていたと答えたそうだ。政治的な背景はない。
 ジョン・コルトレーンでさえアメリカのメディアは黒人に冷淡なのか、未だに未発表の音源が発見されたりする。もちろんコルトレーン自身が世俗に無頓着だったせいもあるだろう。


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