吉田豪の『超・人間コク宝』

超・人間コク宝

超・人間コク宝

  • 作者:吉田豪
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: 単行本
 吉田豪さんのこの本を拾い読みしている。
 というのは、巻頭、コメディーNo.1の前田五郎さんが出てるので。
 以前、中田カウスさんの
襲撃 中田カウスの1000日戦争

襲撃 中田カウスの1000日戦争

という本に、突然、前田五郎が出てきて、ストーリーとしては全く傍流なんだけど、なんか便乗して脅迫状を出したのがばれて、吉本興業をクビになったとかを読んだときは、あまりにも唐突で「はあ?」という感じだった。
 とはいえ、疑いもしなかった。関東の人は知らないかもだけれども、前田五郎って人は、なかなか武勇伝の多い人で、なんかの帰りに、たまたま車に乗せてあげた中条きよしさんが、断りもなくタバコを吸い始めたので、高速道の途中でおろしたとか、NHKのディレクターを吊し上げて出禁になったとか、これは本人がテレビで語っていた。
 そういうわけで、そういうこともやりかねないリアリティーはあったので、話の主筋ではないし、そんな真偽は気にかけずスルーしていたのだが、この本のインタビューによると、筆跡鑑定で、その脅迫状を書いたのは前田五郎ではないという結果が出ているらしい。
 脅迫状そのものは、中田カウス襲撃事件と直接関係ないだけに、さらに闇が深くなる感じだ。
 ただ、中田カウスの言い分でも、前田五郎の言い分でも、大阪府警がいい加減という点だけは一致しているのが面白かった。
 それから、つのだ☆ひろの音楽遍歴の話も面白かった。今では,はっぴいえんどが日本のロックの元祖みたいに言われてるけど,ほんとは違うみたいな話。
 あんまりネタバレしても悪いんだけど、もうひとついうと、非常階段のシルク姐さんが、実はパンクの追っかけをしていて、ロンドンの留学中に、アナーキーのレコーディングにつきあっていたそうで、非常階段というユニット名も、相方のミヤコさんと、OL時代に非常階段で漫才の練習をしていたから、ってのが表向きの命名理由になっているが、実は、ノイズバンドの名前からとっているそうだ。