李禹煥

李禹煥

 国立新美術館李禹煥の展覧会。
 私は「もの派」が好きだが、私にとって「もの派」は菅木志雄。国立新美術館でもあったが、横浜美術館の夜間開館で観た作品がすごかった。展示室を飛び出して美術館全体を駆け巡っていた。

菅木志雄

 李禹煥はもちろん何度も観たことがあるが、彼に関してはどちらかと言うと、ミニマルな絵画の印象が強く、「もの派」きっての理論家としてのイメージはあやふや。
 つまり、

李禹煥《点より》

こういう作品と

李禹煥《関係項 - 鏡の道》

こう言う作品の間にうまく線が引けない。

 個人的に今展覧会で好きな作品は

《関係項(於いてある場所)Ⅰ 改題 関係項》

この左側の《関係項(於いてある場所)Ⅰ 改題 関係項》。
 3枚の鉄板がそれぞれ異なる角度で壁に立てかけられてあり、2枚の鉄板が床に横たえられている。
 結局、こういう動と静の緊張感に反応してしまう。すぐれたギリシア彫刻がそうであるように。

《関係項 ー アーチ》

 これはヴェルサイユ宮殿での個展で展示されたアーチの日本版なんだが、スケール感が違う。

ヴェルサイユ宮殿のアーチ

 これは庭を作ったアンドレ・ル・ノートル李禹煥との対決がドラマなのであって、国立新美術館のしょぼい中庭には10センチくらいのカワイイのをいっぱい並べた方が似つかわしかったろう。


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 この対談が面白かった。ヴェルサイユ宮殿のアーチについても語っている。李禹煥のフランスのアトリエが故・河原温のアトリエと近所だったそうで、その話が面白い。河原温の絵は永遠に分かりそうにない。