入管法改悪とマイナンバーカード

 入管法の改悪をめぐって唯一良かったことは、日本の難民認定率がなぜあそこまで異常に低いのか、そのカラクリがわかったことだ。
 先進国で比較的に低いフランス(だいたい20%ほど)に比べてさえお話にならないほど低い(0.6%ほど)。
 改悪後の入管法でも難民認定率さえまともなら別に問題ないとさえ言える。極端なことを言えば、難民認定率が100%なら、3度しか難民申請できなくても何の問題もなくなるから。
 つまり、問題の核心は難民認定率の異様な低さで、それは、国連の委員会から「10年以上に渡り指摘されてきた」と日本を名指しで非難されている問題だった。
 今回明らかになったカラクリは、難民を認定しない審査官に、優先的に難民の審査を割り振っていたということだったのである。
 差別主義者に難民の認定を割り振っていれば、事実上審査なしで難民を強制送還できる。つまり、これは、明確な国際正義への裏切りであって、事実は、国際条約違反の隠蔽行為なのである。
 なので、今後は、この不正を国内だけでなく、国際的なレンジで訴えかけていくのが重要な戦略になるだろう。

 この難民問題を自分と無関係な遠い問題と思ってる人もいるかもしれないが、YouTubeの「辛坊の旅」を見ていたら、「マイナンバー行きつく先は“中国”?!」と題した面白い話に行き当たった。
 ある日本人アーティストが、香港入境を拒否されたそうなのだ。香港の入管から強制送還されてしまった。これは何故かというと、件のアーティストは4年前、雨傘運動が盛んだった頃だと思うのだけれど、コンサートで「香港加油」と書いたプラカードを掲げたことがあったらしい。
 辛坊治郎はこう言っている。
 「中国の『国家安全法』っていうのは、法律のていを取ってはいますが、法治国家と思われたいために、体裁を整えているだけで、当局がダメだと思ったらダメなんですよ」と。
 ということはつまり?。日本の入管と同じですね。やり口同じですね。日本の場合は難民を受け入れるという条約を批准しながら、差別主義者に難民審査を割り振って、強制送還したり、拷問したり、殺したり。どう違います?。違わないですね。
 ところで、4年前に小さなプラカードを掲げた、などという情報がどうやったら個人に紐づけされるだろうか?。
 中国は日本よりはるかに進んだサイバー社会である。全ての情報がネットを通じて当局に管理されている。日本に留学していた中国人が、日本のSNSで呟いた発言がもとで、帰国後収監されて行方不明になるなんてことが珍しくないらしい。
 で、日本で今、当局が推進しようとしているマイナンバーカードなんだけれども、これが、日本が真に民主主義社会なら問題ないかもしれない。真に民主主義社会というのはつまりすべての人の人権が保証される社会だけれども、日本がそういう社会なら、中国のようにはならないだろう。
 これさっき同じようなこと書きましたね。難民認定率が100%なら、新しい入管法でも何の問題もないだらうと。
 事実は?。今、目の前にある事実は?。斉藤法務大臣が国会で「可能」と言いましたけどあれは「不可能」の言い間違いでした、と言って、可能と回答したままの審議結果で入管法改悪が罷り通る。当局の思うがままですね?。
 マイナンバーカードはそんな政府が推し進めている国民の一元管理政策なんですよね。これをこういうかたちで報じてるメディアがどうもなさそうなんですよね。
 難民問題も国連で批判されている通り、もう十年以上前から問題にされてたんですけど、メディアが報道し始めたのはこの数ヶ月。国内メディアはもうダメだと思うですよね。
 何度も書いて恐縮ですけど、日本はこの問題で「国連から非難されてる」んですよ。そんな先進国あります?。そんな国の一員で恥ずかしくないですか?。
 私は日本が中国みたいになるのはイヤだなと思うんですけど、なぜかネトウヨは中国みたいになりたいらしい。反知性ってこういうことなんですね。


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