「夢売るふたり」をめぐって

knockeye2012-09-11

 ほぼ日刊イトイ新聞に、「夢売るふたり」をめぐって、糸井重里西川美和監督の対談が、好評連載中みたい。

 前作の「ディア・ドクター」のときの対談は、見逃していたが、今改めて読んでみて、ほんとあの映画はよかったなと思った。
 この対談でも話題になっている「ディア・ドクター」のあのラストシーンについては、記憶だけで書くので間違っているかも知れないけれど、小林信彦も「あそこがよくわからない」みたいなニュアンスで書いていたように思う。
 私は(いまでもいろいろなシーンが思い出せる)、鶴瓶さんがお父さんに電話するところで完結しているように思ったので、事の顛末をあのラストシーンまで引っ張っていったのはなぜかなと、そこは未決フォルダーに入れていたのだけれど、この対談を読んで納得した。

 ↑この対談はすごい。笑福亭鶴瓶瑛太八千草薫、スイカ。
 話はすこしそれるのだけれど、この対談のなかでちょっと北野武についてふれているところがあって、わたくし、北野武の映画のなにがおもしろいのか全然わからないのだけれど、ただ、「アニマル・キングダム」という映画を観て、これはたしかに北野武の影響だわとわかって、なるほどねと思ったわけだった。こういうことに反応した人たちがいるんだというあたりのことが腹に納まったわけ。
 だとしたら、北野武の映画はもう消化吸収されてしまったなと思う。北野武の映画って、いまでもあれを繰り返しているだけですよね。
 週刊文春の映画評で、芝山幹郎ポール・オースターの翻訳もこの人・・・じゃなくて柴田元幸だった)が「夢売るふたり」に最高点をつけてこう書いている。ちょっとこれは全文書き写す誘惑に逆らえない。

コンゲームと女の戦記を接着させる大胆な技に驚く。右手が奏でる主旋律を左手の伴奏が追い越す瞬間にどきりとした。