『湖の南』

knockeye2007-08-12

湖の南

湖の南

二日続けて早起きできるわたしではない。
昨日だいぶ歩いたので今日はへばるつもりでいたのだ。
今日も昨日に劣らず暑い一日。日が傾いてから、厚木カワサキにいった。ディライトクーポンの手続きのついでに初回点検もしてもらおうかと思ったが、「500Kmくらいならまだいいわ」と言われてしまった。ごもっともである。
すっかりバイクに乗らない人になってしまった。何にも意識せずに一年一万キロ乗っていたころは、それがふつうだと思っていたので、「乗らない人」は「何でそんなに乗らないんだろう?」と不思議だったものだ。今、その不思議な人の仲間入りをしてみると、これはこれでまたまたあたりまえ。なんでみんなそんなに乗るんだろう?
まぁ、信州や富山に住んでいたころは、アシがないわけだから距離が伸びるのも当然として、関西はここと劣らず公共交通機関が発達していたのに、それでもよく乗った。加古川からだと、休みの日には北のほうに走っていくと楽しめるルートがいくつもあった。
それを考えると、やはり今は、いそがしくて休みにぐったりしてしまうのと、まだ土地になじんでいなくて、お気に入りのツーリングコースが見つけられない感じなんだろう。
郷土の先輩、富岡多恵子の『湖の南』を読んだ。
無条件に信頼できる作家を、誰もが何人か持っているだろうけれど、わたしにとって富岡多恵子はその一人。
ニコライ二世に切りつけた津田三蔵の伝記であるから、凡庸な作家が書くと「その時歴史が動いた」みたいなことになってしまうだろうが、富岡多恵子の手にかかると、津田三蔵が隣人たちのひとりのような奇妙な生々しさをもってくる。ニコライ二世も西郷従道もなまなましい。しかも、ビワコオオナマズと区別がない。
作品の本筋とは関係ないが、津田三蔵を取り押さえた二人の車夫に、ニコライ二世の謝礼として、即金で二千五百円、終身年金として千円が下賜された。犯人津田三蔵の巡査としての給料は九円だった。いくら巡査が安月給とはいえ、その約270倍の現金、のみならず約110倍の終身年金。火焔太鼓の世界だよ。
ロシアと日本に国力の差があったということでしょうなぁ。ちなみに日本政府からも36円のご褒美があったそうです。