語りかける風景

前回のレンピッカの後を襲うBunkamuraの展覧会は、ストラスブール美術館所蔵の風景画を集めた。
やや印象が散漫になるのはいたしかたない。
いつもは好きな曲が、オムニバスで聴いていると、そうでもないように感じたりするあの感じにおぼえがある人は、自分で曲順を入れ替えることをオススメする。玉石混淆の感もあるし。
私は、過去の展覧会なんかを思い出しながら見てまわっていたかもしれない。
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー<ヴィル=ダブレーの池>
の銀灰色には、上野の大規模なコロー展を思い出した。
アルフレッド・シスレー<家のある風景>
何の変哲もない家のある風景。シスレー印象派の展覧会でいつも見かけるが、いつもこれといった印象に残らない。今回も「またいるのね」という感じで、かえって懐かしくなってしまった。しばらく印象派を見ていなかったからかな。
アルベール・マルケ<ルアーブルの桟橋>
この人は船の旅が好きだったそうだ。やっぱり好きなものを描くとよい絵になるみたい。桟橋の細い柱が旅情を感じさせる。
カンディンスキー<サン=クルー公園>
カンディンスキーなのにまるで点描派のようなのが面白い。
フェリックス・ヴァロットン<水辺で眠る裸婦>
シュールレアリズムを思わせる不思議な絵。
マルタン・ユーブレシュト<イル川に架かる橋>
画面全体に濃い霧がかかっているような独特のタッチ。日本の画家で言うと牛島憲之のような。
フリッツ・トーロフ<ソンム河の古い工場、夕暮れ>
工場というモチーフの選び方と沈鬱な色調がベルギー絵画とかムンクなんかを思い出させる。北欧の画家が北欧らしい絵を描いているという納得感。
ウジェーヌ・カリエール<大河のある風景>
セピア色の墨絵みたいな絵なんだけれど、ターナーの影響を強く受けているのだそうだ。ターナーって写実的でドラマチックな風景を描く一方で、他人が見ると何を描いているか分からない絵というのもけっこうあったりする。この画家なりのターナーの解釈はこうなんだと思うと面白い。
ギュスターヴ・ブリオン<女性とバラの木>
今回の展覧会のイチオシはたぶんこの絵だと思う。そんなに有名な画家ではないのだろうし、こういう機会でもなければお目にかかることがない画家なんだろう。でもいい絵。
私のアンテナには引っかからなかったけど、他の人の気に入る無名な絵もきっとあるはず。こういう絵に出合うのがこういう展覧会の楽しみ。
リュク・ヒューベル<後ろを向いて佇む女性、窓の前>
これは、気に入ったとまではいわないけど、惜しいなぁと思う絵。なにが惜しいのかよく分からないのだけれど、もっと空気感を描き込めればボナールみたいになっただろうし、もっと光線の効果にこだわればハンマースホイみたいになったかも。それか、もっと遠近感を圧縮して質感を統一すると、マグリットみたいな感じになったかもしれないけど、どれにもなってないし、特にオリジナリティーもないみたいな。でも、嫌いじゃない。