「ベラ・ヴィータ」

knockeye2015-06-17

 「海街diary」が素晴らしかったので(ああ、それから、前回のエントリーでリンクしておいた是枝裕和監督のインタビューにもふれられていたことだけれど、「映さない」演出がすばらしかった。この映画の中でも、一番印象的かもしれない船の上からすずが花火を観るシーンには、花火そのものが映っていない。次女の佳乃は勤め先の屋上から、その花火を遠くに見ている。花火に一番近いすずのシーンに花火が映っておらず、その後にすずと風太の会話があるわけだけれど、すずが「ここにいていいのかなって苦しくなる」って言う。その後に四姉妹がそろって、あの庭で手持ちの花火をする。こういう風に細部と全体が、ここかしこで響き合っている。)、なんか、海に関係している映画がまた観たくなって、「ベラ・ヴィータ」っていう映画を、横浜シネマリンに観に行ったさ。
 たいして話題にならなかったけど、2009年、「バスティン・ダウン・ザ・ドア」てふサーフィン映画があって、これがまたすばらしかったの。サーフィンって文化をつくりあげた人たちのドキュメンタリーで、アメリカ西海岸とか、南アフリカとか、オーストラリアとかから、ハワイの波を求めて集まった人たちが、現地のサーファーとの軋轢を乗り越えながら、伝説のサーファーになっていく話なんだけど、70年代のヒッピー・ムーヴメントとか、その向こうのベトナム戦争の影まで感じられる映画で、あれから、サーフィン映画っつうと、食指が動くようになった。
 その後、2012年に観た「GOING VERTICAL」 も、これまた、良かった。ショートボードを最初に作ったのは誰かっていう、謎解きの要素もあったり。
 しかし、結論から言うと、今回のはぬるかったな。
 「イタリアのサーフィン」って、それだけでチョット「?」な感じではあった。「波あんの?」つう。そしたら、途中から、クジラがどうのこうのって話になって、「勘弁してよ」って思ってたんだけど、そっちにも深入りはせず、イタリアの食文化もそんな深くは紹介せず、ロードムービーとしても、そんな大した旅ではなく、ま、ぬるい。
 やっぱ、「これからサーフィンって文化を築き上げていく」ってそういう時代と、出来上がった世界の中でそこそこやってる時代ではパワーが違う。
 それならそれで楽しめばいいのに、クジラがどうしたとか、なんか、そういうのチョツト噛ませてみました、みたいな。なんだかね。今って時代のスケールを再確認する結果に終わった。トライアンフのリストバンドを貰って、こういうこというのも薄情なようですけどね。