「仮想通貨革命」、「悲しみのイレーヌ」

knockeye2016-01-11

仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない

仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない

 野口悠紀雄の「仮想通貨革命」。
 よく考えれば、私たちが使ってるのは、とっくに仮想通貨なんだよね。というのは、ニクソンショック以来、すべての通貨は金の裏付けがない。変動相場制で、変な話だけど、それぞれの国の通貨の売り買いで、価値が決まってるだけ。
 その意味では、私たちが普段使ってるお金は、通貨の裏付けさえない。世の中の人が銀行に預けてるお金、それが実際に銀行の金庫にあるかっつうとないもん。
 ニクソンショックから半世紀くらい経って、ビットコインが登場したのは、歴史の必然なのかも。通貨を発行してるのは、「お上」だから、バカな真似しないだろうってことで、通貨の信頼は支えられてる。ところが、日本の財政状況は、バカな若旦那が老舗継いだみたいなことになって、そこから抜け出せない。
 となると、ビットコインの方が、ブロックチェーンプルーフ・オブ・ワークのおかげで、信頼性が確実なんですよ。
 ということは、ビットコインは、金本位制ではないけれど、財政崩壊が絶対起きない通貨であって、ニクソンショック以来、最も信頼の置ける価値だと言えるんでしょう。
 だけど、問題は、現に流通している通貨と、ビットコインの交換レートは、まだ、非常に不安定で、現段階では、個人がビットコインを「資産」として保有するのは危険すぎる。このリスクをどうやってヘッジするのか、一見、難問のようだが、しかし、個人でなくて、法人であれば、リスクより、利点が大きいかも。たとえば、楽天は、アメリカでは、もうビットコインの決済を採用している。
 エムペサっていう、ケニアで普及した決済手段の話は興味深い。ビットコインではないが、銀行制度が脆弱な社会では、新しい通貨が一気に普及する可能性を実地に証明している。
 たとえば、金を見たことがない人たちは、金の価値を知らない。でも、知らない人が多数派なら、金の価値はないも同然なんだけど、でも、金に価値があるっていう人の方が、圧倒的に多数派なら、金の価値を知らない人は、バカにされるは、貧乏だはで、踏んだり蹴ったりなわけじゃないですか。
 いま、ビットコインに価値がないって言ってる人は、どうも旗色が悪いみたいよ。
悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

 ピエール・ルメートルの「悲しみのイレーヌ」。
 こういう猟奇的なのだと思ってなかったから、「ウゲ!」ってなった。まさかのタイトルどおりのラストだし。猟奇的だから悪いとは言わないが、とりあえず、今は、こういうのパスでお願いします。