これはもう一月前に観たんだった。
ホン・サンスと濱口竜介は、テーマがどうのシナリオがどうのという話ではなく、そのスタイルだけで観て損はないので、これについてああだこうだ言うのもさして意味を感じない。
WALK UPってのは、階段で上り下りする集合住宅をいうみたい。そのWALK UPの大家さんをこの前の『小説家の映画』の小説家だったイ・ヘヨン。映画監督役はクォン・ヘヒョで、なんかこの人は私が観てるホン・サンス映画のほとんどでホン・サンスの分身役を演じてる気もする。
今まで観たホン・サンス映画と違って技巧的に時系列をいじってる。一階で話してる時と三階で話してる時では、その間にだいぶ時間差があったり。それの何が面白いかって言うと、一階では愛想良かった大家が三階では無愛想になってたり。一階では調子よかった映画監督が3階ではうらぶれてたりする。
日常では徐々に変わっていくのであまり気にならない、人間のうつろいやすさが、時系列のわかりにくいこの描き方で浮き彫りにされる。
案外、舞台劇にしても面白いのかもしれない。と言うのは、ヨーロッパ企画の『ドロステのはてで僕ら』を思い出しちゃったからで、あれも階段を上ったり降りたりしながら、時系列がずれていく面白い映画だった。
この映画は3階➕バルコニー➕路上があるのでセットが難しいかもしれないけど役者の出入りで舞台で表現できるのかもしれない。
ホン・サンス監督作品は今年まだ二作品が控えてるらしい。