ロバート・ゼメキス監督、デンゼル・ワシントン主演「フライト」。
今回のデンゼル・ワシントンは、元CIAのスパイを演じた「デンジャラス・ラン」とはまるで違う。バツイチのベテランパイロットで、年季の入ったアル中。この日も同僚のキャビンアテンダントと一夜を過ごしたあと、おめざにコカインを決めてコックピットに乗り込む。酒臭いんだけどまわりは慣れっこになっている。
ところが、いつもと違ってこの日は上空5万フィートで尾翼が制御不能になり機体は急降下、でもアッパー系のドラッグでハイになっているおかげか(ちなみに、特攻隊の兵士たちは出陣前に覚醒剤を打っていた。万能感が得られて死が怖くなくなる。戦後、これがヒロポンとして民間に流れる。「サザエさん」にはワカメちゃんがヒロポンを打つシーンがあるそう)、神業的な背面飛行で機体を立て直し、何とか不時着して多くの乗客の命を救う。
ここまで書いてネタバレにならないのか?。これが全然ならない。「ダイハード」なら、これで映画は終わり。あとは、操縦席から這い出たブルース・ウィルスが冷えた七面鳥を食べに家路をたどる。しかし「フライト」はここから始まる。採取された機長の血液からアルコールとコカインが検出されてからの話。
この役をエディ・マーフィかウィル・スミスが演じていたらどうだったろうと思ってみた。笑わすところはいっぱいあるんだし。でも、それだとコメディーになりすぎたかも知れない。日本でリメイクするならまちがいなくさんまさんの役どころ。最後にはびしっと決めるが、とちゅう観客席からは「サイテー・・・」というつぶやきが聞こえていた。