2023年に鬼籍に入ったばかりの坂本龍一でもあるので、やはりこれは観ておきたい映画かなと。何なら去年の点鬼簿に記された名前かと思っていたほどだったが、一昨年だと知って驚いている。
『Ryuichi Sakamoto | Opus』を観たのも去年の夏だったみたい。3ヶ月前みたいな気がする。
ピアノソロだった『Ryuichi Sakamoto | Opus』と打って変わって今回は東京交響楽団をピアノを弾きながら自ら指揮し、合間にMCも務める。時代も10年遡って坂本龍一自身がまだまだ若々しくエネルギッシュ。前日に大阪で同じ座組でコンサートをやったあと、二日続けでの東京公演。しかも生放送されていたそうだ。
彼自身MCで「今回は指揮者がいません」とジョーク半分に語っていたが、確かに、よく見るピアノ協奏曲なんかのコンサートだと指揮者の横にピアノがあるのが普通。今回のポスタービジュアルに使われているような指揮者の位置にピアノがあるのは珍しい。
とはいえ、実際に演奏を聴いてみると、作曲者である坂本龍一自身が指揮する方が多分いいんだろうと思った。100年以上も演奏され続けてきたクラッシックを常任指揮者が指揮するのとはわけがちがう。指揮そのものが相当むずかしそうにみえた。というか、シンセサイザーとPCで出来上がっている音楽を、生楽器のフルオーケストラで再現するこの人たちはすごいと思ってしまった。
坂本龍一のコンサート映画は『Ryuichi Sakamoto | Opus』『performance in NewYork : async』『Ryuichi Sakamoto CODA』と観てきたが、音の厚みとライブ感は今回のが1番すごかった。いかにも素人の感想で申し訳ないのだけれど。
セットリストも坂本龍一の全史に渡っている。1979年の『ソリッド・ステイト・サバイバー』の「Castalia」はこれがオーケストレーションされる日が来るとは夢にも思わなかった曲だろう。
『未来派野郎』の「Ballet mecanique」はイギリス在住の現代音楽家の藤倉大がこの曲に惚れ込んでオーケストレーションしたモノだそうだ。坂本龍一の曲はこんなふうにオーケストラのスタンダードとして受け継がれていくのかもしれない。でも、指揮する人にとってはチャレンジングだろうな。もちろんオーケストラにとっても。


