この週末、3本の映画を観たが、これがいちばん心に残った。ちなみに他に行く予定にしていた東京の美術館はすべて閉まっていて無駄足を踏んだ。
映画はカメラに誠実でなければならないと思った。不自由な状況で撮影しなければならないジャファル・パナヒ監督は画面に託す思いが強いと感じた。画面が切り取っている風景について鋭敏だと思う。
具体的に言うと距離感。原題は「3faces」。邦題の「ある女優の不在」は、3つの顔のうちのひとつが見えないことを意味しているのだろう。
ずっと、映画を作ることを当局から禁止されてきたが、映画の表現を彼自身の表現として生きてきた人の映画だと思う。
BGMすらほとんど使われていなかったが、必要とも思わなかった。沈黙、台詞、喧騒、静寂のリズムが心地いい。
カンヌで脚本賞を受賞している。