五島美術館 「古伊賀 破格のやきもの」

 根津美術館泉屋博古館東京と巡って最後に五島美術館へ。五島美術館は東急の五島慶太の美術館。
 五島美術館は世田谷なので、あの広大な庭も、表参道の根津美術館のような驚きはない。五島美術館の庭に来るといつも、あの高低差を活かした水の流れを作ればいいのにと思う。
 五島美術館のお茶室にも

五島美術館の庭
灯が入り

茶事が行われていた。

 一般には、11月はハロウィンとクリスマスの端境くらいにしか思われていないかもしれないが、お茶をする人たちにとっては炉開きと口切りの月、「茶人の正月」という。
 根津美術館でもこちらでもお茶会が開かれていたのがそのためかどうかは知らないが、どちらの美術館でも茶室が茶事で使用中ってことは珍しく思った。

五島美術館も紅葉はまだ。

 過去記事を調べてみると

2018年の12月15日の五島美術館
2018年の12月15日の五島美術館

ちょうど紅葉の盛りだった。

 でも、この日は

空気が澄んで日差しが心地よく

茶室の合間からの夕陽が

ちょうど地蔵を照らしているところだった。

 五島美術館古田織部の古伊賀の水指《銘 破袋》を所蔵している。もちろん今回も展示されていた。が、今回は古伊賀だけに特化した展覧会、これだけ一堂に会した古伊賀を観るのは初めて。それで気がついたんだけど、どれも一生懸命に歪めている。歪みなく左右対称に整形しようなどという考えは微塵もない。毎回毎品、どう歪めるかに頭を絞っているのがよくわかる。こんなことするのは日本人だけだろうなとこの量を前にしては流石にそう思った。
 利休が言った「侘びたるはよし、侘ばしたるは悪し」なんてのは気にもかけず、どれも必死で「侘ばして」いる。そういう試行錯誤の果てに、《銘 破袋》みたいな名品が生まれてくる。そりゃそうだよなと思った。

 この

松花堂昭乗伝来の耳付花生だけ

撮影が許可されていた。
 伊賀擂座瓢形水指 銘 呂洞賓、伊賀耳付花生 銘 聖、茶碗では、銘 后の月などなど見ごたえがあった。