2017-01-01から1年間の記事一覧

「バリー・シール」、「アトミック・ブロンド」

「バリー・シール」、「アトミック・ブロンド」。 「バリー・シール」は、週刊現代で井筒和幸もレビューに書いていたが「アメリカをはめた男」どころではなく、「アメリカに踊らされた男」ってのが正しい。マシュー・マコノヒーの「ゴールド」も似たような展…

期日前投票にいきました

市役所に期日前投票にでかけた。台風が近づいている予報のせいか、普通の投票所以上の混雑。台風が来なければもっと投票率も上がったのだろうと思う。 このブログは現時点では、だいたい二週間遅れぐらいで書いている感じになっているので、もう選挙の結果は…

狩野元信 天下を治めた絵師

サントリー美術館が六本木開館10周年記念展として「天下を治めた絵師 狩野元信」をやってる。もう2回足を運んだけれど、けっこう細かく展示替えがあるので、もう一度は行こうと思っている。とはいえ、会期が11月5日までなので行けるかどうか微妙だが。…

単色のリズム 韓国の抽象

初台の東京オペラシティアートギャラリーで「単色のリズム 韓国の抽象」っていう展覧会を、これは、目黒区美術館の「日本パステル画事始」と同じ日に観た。どちらの展覧会でも同じおじさんに出くわして「趣味のいいひともいるもんだ」と、遠回りな自画自賛を…

矢崎千代二

目黒区美術館は開館30周年記念だそう。桜並木で有名になった目黒川のすぐわきにある、比較的小さい美術館だけれど、面白い企画が多い。高島野十郎展もよかったし、特に、2009年の「‘文化’資源としての炭鉱」展は記憶に残る。あの後、山本作兵衛の絵がユネス…

「ユリゴコロ」

「ユリゴコロ」の原作者、沼田まほかるは「イヤミス(読んだ後イヤーな気分になるミステリーの略だそうです)」の女王と言われるベストセラー作家なのだそうだ。もうすぐ公開される蒼井優、阿部サダヲの「彼女がその名を知らない鳥たち」も彼女が原作者だそ…

「ドリーム」

「ドリーム」は、振り返るとここに描かれている差別に実感がわかない。 有人宇宙飛行を成功させようかという時代に、白人と非白人でトイレが別々だった話なんて、ギャグとしか思えないし、この映画でもコミカルに描かれている。アメリカ人も、もうこれは笑え…

キング・オブ・コントに見るお笑いライブシーンの熟成とテレビの終焉

キング・オブ・コントはかまいたちが獲得した。私はテレビを観ないので、バナナマンのバナナムーンゴールドで聞くだけだけど、この審査員ってのが、松本人志、さまぁ〜ず、そしてバナナマンっていうこの組み合わせが面白いと思う。 松本人志がずっと前にイン…

「パッション・フラメンコ」、日本の家

フラメンコの第一人者、サラ・バラスのドキュメンタリー「パッション・フラメンコ」を新百合ヶ丘のアルテリオで観た。この夏にBunkamuraで上映されていたらしいが気が付かなかった。 パコ・デ・ルシア、アントニオ・ガデス、カルメン・アマジャ、カマロン・…

「ブルーム・オブ・イエスタデイ」

「ブルーム・オブ・イエスタデイ」っていう、ナチスをテーマにした映画かと思いきやそうでもないかもというトリッキーな映画を観た。 ナチス映画なのかと思ったら肩透かしを食らった、みたいなレビューもあるけど、孫の世代がじじいの戦争をめぐって泣いたり…

フランスの人間国宝、江戸の琳派

フランス人間国宝展という展覧会が、東京国立博物館で始まっている。運慶展の行列を尻目にスルッと入れる。 フランス人間国宝、正式には「メートル・ダール」という制度が彼の国にあるそうだ。意外なことに、制度が創設されたのは1994年と、かなり新しい。日…

長谷川等伯 晩年の障壁画

永青文庫で長谷川等伯が晩年に描いた南禅寺天授庵の障壁画、全32面を展示している。ただし、狭い美術館なので、ということなのだろうか、前後期に分けて展示される。前期は10月29日まで、後期は10月31日から11月26日までなので、全点観たい方…

驚異の超絶技巧

東京駅近くでお昼になる場合、コレド室町にある「京つけもの西利」で、漬物寿司点心か京漬物御膳かを食べることにしてる。関東にいるとめったに味わえない白味噌の味噌汁がおいしい。通い始めの頃は京のお茶漬け(1080円)が気に入ってたのだけれど、そのう…

キー、コイン、札、カード、スマホ

つい最近、会社で3万円落とした。奇特な人がいて奇跡的に取り戻せたが、自分の中で懸案になっていた、キー、コイン、札、カード問題について、これはいよいよ結論を出す潮時だった。 ネットで古市某が発言して話題になっているが、私もできる限りキャッシュ…

鈴木春信

千葉市美術館は私の所在地からは遠いのだけれど、時々見逃せない展覧会がある。去年の「浦上玉堂と春琴・秋琴 父子の芸術」はずっしり来る展覧会で前後期とも出かけた。「蕭白ショック」という展覧会もあった。ちなみに、曽我蕭白の≪虎渓三笑図≫は、ここの所…

折元立身による折元男代の追悼

コンセプチュアルアートとは、ざっくり言えば、美術評論家が飼ってる犬の曲芸であるといっても大して間違ってないだろう。飼い主が聞くと「ごはん」と聞こえるらしいが、赤の他人が聞くと「ワン」としか聞こえないあのたぐいである。 しかしながら、コンセプ…

Apple Watchで電話できればiPhoneは要らない

もしiPhone Xが魅力的だとしても、強い訴求力はない。購買意欲は湧かない。これは、液晶の端っこがまるまってるGALAXYが出たときにも感じたことで、頑張ったなって思うけど欲しくない。 スマホはもうコモディティー化したのだろう。歯ブラシと同じようなもの…

18世紀の古伊万里

日本民藝館でウィンザーチェアを観た後、戸栗美術館で「18世紀の古伊万里―逸品再発見ll―展」を観た。戸栗美術館というのが渋谷にあるとは知っていたけど、訪ねたのは初めて。渋谷の雑踏がウソみたいに静かなあたりだった。 日本民藝館のウィンザーチェアもそ…

ウィンザーチェア

日本民藝館でウィンザーチェアの展覧会が始まっている。11月23日まで。長野県信濃美術館との共催で、そのせいか日本民藝館の展覧会としては珍しく図録が用意されていてうれしかった。 日本民藝館は、柳宗悦の旧居で、生活感のある建物なんだけれど、そこに1…

「ギミー・デンジャー」

ジム・ジャームッシュがイギー・ポップ&ストゥージズを撮ったドキュメンタリー「ギミー・デンジャー」を、これは公開初日に観に行った。実は、その日の朝、ジム・ジャームッシュ監督の「パターソン」についての記事を書いてたら、出演者の一人である永瀬正敏…

「散歩する侵略者」「ダンケルク」

クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」と黒沢清監督の「散歩する侵略者」の、映画としての質感の違いはCGなんだろう。私はこの二つの映画のどちらも好きだけど、誰かが片方をすごく嫌いで、片方がすごく好きだとしたら、絵作りに敏感になってしまう…

「三度目の殺人」

是枝裕和監督が、役所広司を迎えて撮った新作は、国境を越えて待ち望んでいるファンがいるってことを納得させられる、充実した出来映え。美術監督を種田陽平が務めた画面は重厚に作り込まれていて、彩度とか、コントラスト、色温度とかまで、間違いなくこだ…

ゴミのリサイクルには必死なのに、住宅は使い捨ての不思議の国

少子化に歯止めがかからず、人口は減り、空き家が増えて問題になっているのに、駅前にまたタワマンが建ってる。mansionとは言うけれど、NYのアパートほどの広さもない、大きめの蟻塚みたいなのがにょきにょき建つわけ。 日本には地域社会がなく、子供の頃は…

「ELLE」フェミニステイック・ハードボイルド

ポール・バーホーベン監督、イザベル・ユペール主演。 ただのエロサスペンスじゃない。内田春菊のレビューが「スカッとします、この映画」ってあったけど、女目線だとそういう見方もできるかも。一方、ニューズウイークの映画評は、名前からすると女性だと思…

「幼な子われらに生まれ」

「幼な子われらに生まれ」の脚本は荒井晴彦。 「神様のくれた赤ん坊」「赫い髪の女」「嗚呼!おんなたち 猥歌」「遠雷」「時代屋の女房」「探偵物語」「Wの悲劇」「ひとひらの雪」「噛む女」「リボルバー」「KT」「ヴァイブレータ」「大鹿村騒動記」「共喰い…

「パターソン」

ジム・ジャームッシュの新作「パターソン」で主演しているアダム・ドライバーは、「スター・ウォーズ」のカイロ・レンで有名になった。カイロ・レンの素顔を見たレイが「え」って顔をするが、今にして思えば、あれはキャスティングが意外だったのかもしれな…

「ワンダー・ウーマン」

この週末は、観たい映画が一斉に封切りされた。「パターソン」、「幼な子われらに生まれ」、「ワンダー・ウーマン」、「ELLE」。この週末は「ワンダー・ウーマン」、「パターソン」、「幼な子われらに生まれ」、「ベイビー・ドライバー」を観た。 まず「ワン…

「海辺の生と死」

満島ひかりは、今、見逃したくない女優さんだと思う。その満島ひかりが、自身のルーツである奄美大島を舞台にした映画な訳だから観るべきだと思う。 原作を書いた島尾ミホと島尾敏雄夫妻は、多分、日本の近代文学史上もっとも有名な夫婦だろう。しかし、一応…

「ハイドリヒを撃て!」

「ハイドリヒを撃て!」は、井筒和幸が「久しぶりに凄まじい戦場を発見した」と絶賛していたので。週刊現代の井筒和幸は、とにかくすごく狭いレンジでハマらないと褒めない。 ナチス占領下のチェコスロバキアに、ロンドンの亡命政府から派遣されたエージェン…

宋磁の美

あべのハルカスのついでに中之島の東洋陶磁美術館を訪ねた。ちょうど「宋磁の美」と言う展覧会が始まったばかり。 全て館蔵品であるのか、全品撮影可という太っ腹。しかも、人は少ないし、ガイドツアーもあるしつうことで満喫した。 この飛青磁なんかは、サ…