アート
ワシントンのフィリップス・コレクションが今年で創立100年だそうで、三菱一号館美術館としては、ジャルダンやルドンの展覧会などで、作品を借用してきた縁もあり、館長の高橋明也さんの個人的な関係もあるのだろうけれど、今回、フィリップス・コレクション…
マルセル・デュシャンの便器を観に行った。結局、ガラスケースに飾られて、世界の美術館を巡回しているではないかと、なんとなくほくそ笑む気分になる。時空を超えて壮大なプラクティカル・ジョークだ。 この便器が200年、300年後にどうなっているか想像して…
千葉市美術館まで出かけて「1968」をテーマにした展覧会を観たけど、正直言ってピンとこなかった。 一番ピンとこなかったのは、赤瀬川源平の、世に言う「千円札裁判」周辺のパフォーマンスで、これの一体何が面白かったのかと首を傾げた。 赤瀬川源平につい…
国立新美術館にて、オルセー美術館特別企画のピエール・ボナール展が開かれている。 オルセー美術館の館長は去年からローランス・デカールがオランジュリー美術館と兼務しているが、2008年からその職についていたギ・コジュヴァルがナビ派の研究者であったせ…
もう先月の、しかももう一ヶ月近く前の話なんだけれど、静岡市美術館にヴラマンク の展覧会を観に行った。 ヴラマンク のカタログ・レゾネを編纂した、ポール・ヴァレリー美術館の館長、マイテ・ヴァリス=ブレッドてふ人が監修したというので、静岡まで足を…
森美術館に「カタストロフと美術の力展」を、国立新美術館のピエール・ボナールのついでに訪ねた。 美術に力があるかどうかについては判断を保留したい。今のところ、無いと思っている。「ペンは剣よりも強し」という場合「報道も権力の一部」と言っているに…
平塚市美術館で小倉遊亀展が開かれている。滋賀県立美術館の所蔵品がだいぶ展示されているみたい。滋賀県立美術館には関西在住の頃はよく訪ねた。アメリカのポストモダンの絵と、それから何と言っても小倉遊亀のコレクションが充実していた記憶があるのに、…
中村橋にある練馬区立美術館で月岡芳年の展覧会が開かれている。 月岡芳年は、太田記念美術館で《うぶめ》も観たし、町田の国際版画美術館でも、魁題百撰相をコンプリートしているし、練馬まで足を運ぶまでもなくはないかと迷いはしたが、やっぱり、月岡芳年…
神奈川県立歴史博物館に「明治150年記念 真明解・明治美術/増殖する新ニューメディア ―神奈川県立博物館50年の精華―」。 みなとみらい線の馬車道駅を降りると目の前にある、昔、横浜正金銀行の本館だった建物がそれ。 五姓田義松の絵が観たいなと思った。 …
横浜美術館は、キュレーションが面白いし、常設展も充実していて、しかも撮影OKだし、ほぼ展示替えのたびに訪ねている。 今回の「モネ それからの100年」も、もちろんいつものように訪ねたのですけれど、そんなにヒットする企画じゃないだろうと多寡をくくっ…
渋谷の松濤美術館で、「涯(ハ )テノ詩聲(ウタゴエ) 詩人 吉増剛造展」、9月24日まで。 詩人としての吉増剛造はずっと気になっているが、今のところ、歯が立たない。 前にもチラッと書いたが、東京国立近代美術館で開催されていた「声ノマ 全身詩人 吉増…
月をモチーフにした水墨画はほぼ仙がい(崖の山がない字)。でも、仙がいそのものではなくその解釈なんだと思う。「わび さび ゆる だめ」っていうコンセプトも、《「ウサギは疲れました」》って板絵も、抱一がわざと銀やけした月を描いたように、伝統の解釈…
ちょっとしたついでに竹久夢二の生家を訪ねた。 岡山らしく葡萄棚があった。当時からあったはずはないが、竹久夢二のキッチュな感じに似合ってるかも。 この生家は、夜逃げ同然に出る時に、近くの造り酒屋に売ったのだそうだ。近くに、東京にあった夢二のア…
横浜そごう美術館で、フェルメールのリクリエイト展。これは、何年か前、たしか銀座でもあったやつ。フェルメール・フリークの福岡伸一が企画したもので、世界で確認されているフェルメールの油彩画37点すべてを、現在の技術の粋を極めて複製したもので一覧…
ミケランジェロ展については、ミケランジェロの展覧会を日本でやるのが無茶だと思った。 今回展示されている《ダヴィデ=アポロ》は、ミケランジェロがフィレンツエを脱出する頃に造っていた未完品で、肩に担いでいるのが矢筒か投石器か分からないのでアポロ…
この頃は上野には土曜日に行くようにしている。東京国立博物館と国立西洋美術館は、午後九時まで開館しているので、このところのように暑い日なら日ざかりを避けて、たとえばこの日なんかだと、午後4時ごろから東京都美術館で藤田嗣治を観た後、軽く夕食をと…
先月、世田谷美術館に濱田庄司展を訪ねた時の写真。見ていただいて分かるとおり、おそろしく暑い日だった。 濱田庄司の名前は、柳宗悦とか、バーナード・リーチとか、棟方志功とかの名前とともに思い出す名前だと思う。柳宗悦の「民藝」という問いかけは、わ…
東郷青児記念美術館で「巨匠たちのクレパス画展」。 クレヨンとクレパスがどう違うのかさえ、知らなかったし、そもそも違うことすら知らなかったが、クレパスってのは、クレヨンとパステルの良いところを併せ持つ、大阪の商人が開発した画材なのだそうだ。 …
万城目学が週刊文春に書いていた。若い頃、海外の宿で深夜テレビを観ていたら、なぜか、韓国のヒットチャート、日本のヒットチャート、アメリカのヒットチャートが紹介されていて、そのとき、身びいきなしで、日本のヒットチャートが断然魅力的だと感じたそ…
ルーヴル美術館所蔵の肖像にテーマを絞った展覧会。 ちょっとしたついでに立ち寄っただけなんだけど、面白かった。特に、死と記憶のための肖像についての展示は、さすがにルーヴルだけあって厚みがあった。 これは紀元前16世紀ごろ、エジプトで埋葬されたミ…
ピカソとブラックがキュビズムを始めたことは間違いない。どちらが先だったかは、ハッキリ知らないが、しかし、このふたりのキュビズムはずいぶん違う印象がある。 たとえば、これはよく言われることらしいが、ピカソの《アヴィニョンの娘たち》はキュビズム…
虹の画家といえばわかる人も多いと思う靉嘔の回顧展が2012年にあった。そのとき印象深かったのは「これでもう絵を描かなくてもいい」という言葉だった。 それは靉嘔が虹を始めたきっかけについて書いた文章で、線やフォルムは過去の巨匠たちの焼き直しにしか…
この映画はリューベン・オストルンド監督の『フレンチアルプスで起きたこと』に続く映画。『フレンチアルプスで起きたこと』は、普段はなかなかくすぐられないところをくすぐられる映画で、一昨年のカンヌの話題をさらい、ハリウッドリメイクも決定したりと…
練馬区立美術館で、これはもう四月のはじめころなんだけど、サヴィニャック展、「パリにかけたポスターの魔法」を観た。意外にすごく盛況で図録を買うのにずいぶんならばなければならなかった。 残念ながら撮影禁止だったんだけど、もとはと言えば町中に貼っ…
四谷三丁目の愛住町にある愛住館に、池口史子の絵を観に出かけた。この美術館はオープンできるかどうかちょっともめてるみたいな報道もあったので気にかけていたが、無事にオープンしていたらしい。 池口史子(ちかこ)の絵は、以前、松濤美術館で個展を観て…
いま、平塚市美術館で開かれている「岡村桂三郎展 異境へ」は、展示室を埋め尽くして列なる杉板の屏風に、何はともあれ圧倒される。足を運んで観た方がよい。 併設されている「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展 アンディ・ウォーホルから奈良美智…
日本の美術愛好家からすると、葛飾北斎に対する西洋での評価は、日本美術全体を考えると、バランスを欠いているようにも見えるが、19世紀、ジャポニズムのインパクトは、西洋美術史の特異点として、忘れがたいのだろう。 この映画は、2017年夏に大英博物館で…
実家が近いので、横尾忠則現代美術館にはよく出かけるが、いつの展覧会でも必ず新作が展示されている。もともと多作な作家なので、初めてみる絵がほとんどだし、いつも楽しい気持ちになる。 今回は、「横尾忠則の冥土旅行」という企画で、絵も素晴らしかった…
横浜美術館に、テートギャラリーの所蔵品から「NUDE」にテーマにした展覧会が巡回している。2016年から世界を回っていると聞いてピンとくるのは、2015年に永青文庫で開かれた春画展で、あれももともとは大英博物館で2013から2014年にかけて好評を博した展覧…
戦場カメラマン沢田教一の眼―青森・ベトナム・カンボジア1955-1970作者: 斉藤光政,沢田サタ出版社/メーカー: 山川出版社発売日: 2015/05/30メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る 沢田教一の写真展を横浜高島屋に訪ねた。 沢田…