アート

圧巻!岡村桂三郎展 異境へ

いま、平塚市美術館で開かれている「岡村桂三郎展 異境へ」は、展示室を埋め尽くして列なる杉板の屏風に、何はともあれ圧倒される。足を運んで観た方がよい。 併設されている「21世紀の美術 タグチ・アートコレクション展 アンディ・ウォーホルから奈良美智…

『大英博物館プレゼンツ北斎』

日本の美術愛好家からすると、葛飾北斎に対する西洋での評価は、日本美術全体を考えると、バランスを欠いているようにも見えるが、19世紀、ジャポニズムのインパクトは、西洋美術史の特異点として、忘れがたいのだろう。 この映画は、2017年夏に大英博物館で…

横尾忠則の冥土旅行

実家が近いので、横尾忠則現代美術館にはよく出かけるが、いつの展覧会でも必ず新作が展示されている。もともと多作な作家なので、初めてみる絵がほとんどだし、いつも楽しい気持ちになる。 今回は、「横尾忠則の冥土旅行」という企画で、絵も素晴らしかった…

横浜美術館でNUDE

横浜美術館に、テートギャラリーの所蔵品から「NUDE」にテーマにした展覧会が巡回している。2016年から世界を回っていると聞いてピンとくるのは、2015年に永青文庫で開かれた春画展で、あれももともとは大英博物館で2013から2014年にかけて好評を博した展覧…

沢田教一展

戦場カメラマン沢田教一の眼―青森・ベトナム・カンボジア1955-1970作者: 斉藤光政,沢田サタ出版社/メーカー: 山川出版社発売日: 2015/05/30メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る 沢田教一の写真展を横浜高島屋に訪ねた。 沢田…

隈研吾 くまのもの

書きそびれていたが、東京ステーションギャラリーで開催されている、隈研吾の展覧会に行ったんだった。 あの日は、ルドンと鈴木長吉も観たので、こちらは後回しになった。 「くまのもの」と題された展覧会で、今回は建築素材にテーマを絞っていた。 なので、…

上野で夜桜、プラド美術館展

土曜日に、国立西洋美術館にプラド美術館展を観に行った。土曜日は夜8時まで、東京国立博物館は9時まで開いているので余裕を持てる。 ベラスケスにさほど興味もなかったが、面白かったのは、商人のギルドの集まりを描いた大きな絵《ブリュッセルのオメガング…

ビュールレ・コレクション展

国立新美術館で、至上の印象派展 ビュールレ・コレクション展を観てきた。 印象派で、国立新美術館で、ということなので、混雑は覚悟していたのだったが、拍子抜けした。まあもちろんガラガラではないんだけど、行列に並ばされることもなく、スムーズに観て…

春めき桜と静嘉堂文庫の国貞展示替え

村 鹿は角に麻縄をしばられて、暗い物置小屋にいれられてゐた。何も見えないところで、その青い眼はすみ、きちんと風雅に坐つてゐた。芋が一つころがつてゐた。そとでは桜の花が散り、山の方から、ひとすぢそれを自転車がしいていつた。 脊中を見せて、少女…

三菱一号館美術館でルドン

三菱一号館美術館でルドンの展覧会が始まっているが、今回の呼び物は、この美術館の所蔵で「グランブーケ」と呼ばれる、壁画の一枚がある、その「グランブーケ」とともに、ドムシー男爵の食堂の壁面を飾っていたすべての壁画が、一堂に会して展示されている…

名工の明治

この週末は、東京駅周辺の美術館をはしごした。 三菱一号館美術館のルドン、東京ステーションギャラリーの隈研吾、それから、東京国立近代美術館(竹橋にあるやつ)の工芸館で「名工の明治」。 ところで、工芸館でないほうでやってる熊谷守一はもう観ているの…

is your time

坂本龍一の設置音楽2「is your time」を観てきた。 音楽それ自体は、はじまりもおわりもなく、もっと長い時間聴いていたい気持ちだったが、ちょっと会場の換気が悪い気がした。埃っぽくて、設楽統もインフルエンザにかかる今日この頃、危険予知能力を発揮し…

寛永の雅

へうげもの(25) (モーニングコミックス)作者: 山田芳裕出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/01/23メディア: Kindle版この商品を含むブログ (6件) を見る 山田芳裕の『へうげもの』が遂に完結しましたな。 マンガはあんまり手に取らないんだけど、これは…

みうらじゅんフェスティバル、「変態だ」

宮藤官九郎との対談で言ってたけど、みうらじゅんは今年還暦を迎えるにもかかわらず、オナニーしているところを事務所の女の子に見つかったそうだ。 還暦なのにオナニーするは、まあいいとして、それを事務所でしてたのは、もしかしたらすごいのかもしれない…

『江戸芸術論』

江戸芸術論作者: 永井荷風発売日: 2012/10/05メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る こないだ静嘉堂文庫に国貞を観にいったって記事を書いているときに、いろいろ検索していて、永井荷風のこの文章にでくわした。それで、そんなに大部の書物というわ…

ミロコマチコ いきものたちの音がきこえる

オレときいろ作者: ミロコマチコ出版社/メーカー: WAVE出版発売日: 2014/11/11メディア: 大型本この商品を含むブログ (3件) を見る 世田谷文学館で「ミロコマチコ いきものたちの音がきこえる」。 去年のはじめ、千葉市美術館で「ブラティスラヴァ世界絵本原…

歌川国貞展

静嘉堂文庫で歌川国貞は、こちらのかってな思い込みとして、いわゆる「本絵」しか展示しない美術館かと思っていたので、どういう風の吹き回ししかと怪しんだが、どうもすべて所蔵品のようである。 歌川国貞はずっと頭の隅に引っかかっている。明治になってか…

オペラシティアートギャラリーで川瀬巴水

雪で思い出した、は、こじつけだけど、こないだオペラシティアートギャラリーで観た谷川俊太郎展と併催されている常設展は、ここのコレクションとしてはめずらしく、センチメンタルというか、ウエットというか、懐古的な趣味の絵を並べていた。二川幸夫って…

谷川俊太郎展

詩人で展覧会を開けるのは、まず、谷川俊太郎くらいのものだろう。東京国立近代美術館で吉増剛造展ってのは観たし、面白かったが、よく言えば実験的、私の勉強が足りないってだけのことだが、悪く言えば難解だった。たしかに今回の谷川俊太郎展と吉増剛造展…

トーハクに初詣

これは先週の話になるのだけれど、上野の東京国立博物館に出かけた。「トーハクに初詣」みたいなキャッチコピーにはもう何年も前からおなじみだったけど、実際に出かけたのは初めてだった。 というのは、実は(これは一生治らないと思うが)、渋谷に観に行く…

兵庫県立美術館の常設展

エルミタージュ美術館展でカメラで撮っていいのはエカチェリーナ二世の肖像画だけだったが、常設展はフラッシュをたかなければ大丈夫。公立の美術館の常設展はだんだんそうなっていくのかもしれない。 そのときのキュレーションがたまたまそうだっただけかも…

バルテュスの腰巻事件?

バルテュスの《夢見るテレーズ》について「少女を性的に扱っている」として撤去を求める活動に一万人の署名が集まっているそうだ。言いたいことは3つ。まずひとつは、これは黒田清輝の裸婦をめぐる「腰巻事件」を思い出させるってこと。もうひとつは、バル…

石内都 肌理と写真

フリーダ 愛と痛み作者: 石内都出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2016/06/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 『フリーダ 愛と痛み』という写真集を持っている。 石内都をわたしは「フリーダ・カーロの遺品」という映画で初めて知った。…

あこがれの明清絵画

静嘉堂文庫美術館に「あこがれの明清絵画」を、これは、会期終了ぎりぎりに。実のところ、どちらかというと紅葉の見納めという思いで。 ポスターに使われている《老圃秋容図》を描いた沈南蘋は、江戸時代の中頃、1731年から22ヶ月長崎に滞在して、その後の日…

「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」

「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」の封切りは金曜日。その日は残業で遅くなったんだけど、明日は休みだし、なんならレイトショーで観てもよいかなと思って、バス停でTOHOシネマズの予約サイトを開いてびっくり。24:20の回でさえ「残席わずか」の三角マー…

「否定と肯定」

英語の原題は、“Denial”、単に「否定」だ。原作はデボラ・リップシュタットの『否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる戦い(原題“History on Trial: My Day in Court with a Holocaust Denier”)』。ホロコースト、ナチスによるアウシュビッツ収容所でのユ…

畠山記念館

目黒自然教育園の前の道を渡って細い道を少し歩くと、畠山記念館に着く。ここは住宅街にあって、私のような方向音痴は何度来ても道に戸惑う。 畠山記念館は、荏原製作所の創業者、畠山一清の旧邸であった。即翁と号して茶を嗜んだ。《からたち》と銘された伊…

根津美術館の紅葉 鏨の華

紅葉の盛りの根津美術館になぜ来たことがなかったのか分かった気がする。海外にまで人気の庭のある根津美術館は、紅葉だけで客が呼べるので、紅葉の頃の展示はけっこう渋めにしているみたい。だから、WEBで展覧会をチェックして、行こか行こまいかと考えてい…

箱根の紅葉

よい天気だったので箱根に紅葉狩りに出かけましたという記事。 箱根美術館と箱根彫刻の森美術館と、最後にちょっと岡田美術館にも寄った。ちょっとなめてたけど岡田美術館は一時間ではまわりきれないので、また来たい。 箱根美術館は、池に映り込む紅葉が珍…

運慶展

東京国立博物館で開催されている興福寺中金堂再建記念特別展の運慶展は連日人が押し寄せているに決まっている。 つうことで、ちょっと行きそびれていたのだけれど、「KUBO」と「人生はシネマティック!」が二つともいい映画で気持ちが上がって、流れで夜…