宮藤官九郎脚本。岸善幸監督。菅田将暉、井上真央主演。
去年は『不適切にもほどがある!』が最高だったし、やっぱり本人も映画よりテレビに向いていると思ってるのかも。映画脚本では『ゆとりですがなにか インターナショナル』以来だろうか。映画ではシナリオだけでなく監督作品を観たいなぁって気がする。
岸善幸監督は『正欲』、『二重生活』はよかったけど、コメディはまた別のセンスがいるかも。クドカン脚本には珍しく笑いどころを外してる。キャスティングと演出のせいかも。ちょっとべたすぎると感じた。
具体的にいうと、「モモちゃんの幸せを祈る会」ってのが寒かった。いや、明らかに迷惑でしょう。よくないでしょう。ハラスメントだと思う。本人に秘密に、うちうちにやってるならまだしも、居酒屋にサイン色紙みたいに貼り出してるのは違和感しかなかった。あれで引いてあとは乗れなかった。
井上真央ももう37とか8らしくてすごく色っぽくてよかった。それだけに「モモちゃんの・・・会」が余計にグロテスクに思えて作品世界には入れなかった。
登場する男が幼稚すぎる。菅田将暉と井上真央が進めようとする空き家プロジェクトに対しても三宅健がすぐ殴りかかったりするのは、お約束すぎて萎えた。
菅田将暉も竹原ピストルも直情型の人間の型にハマった演技をしているとしか見えなかった。
「モモちゃんの幸せを祈る会」って書いたのを持って写ってる写真の4人が着てるのは喪服でしょ?。そういうの店に飾る無神経さが信じられない。
つうか、それは、現実にはありえなくて、作品上の都合にすぎない。人物が誰も血が通った人間に見えなかった。
中でも、中村雅俊、好井まさお、白川和子、松尾貴史、池脇千鶴はよかった。でも、他の役者さんも今回は設定が無茶でどうしようもなかったと思う。
東北ならではの魚と料理があって、人々のコミュニティがあって、空き家をリノベーションして貸し出そうとするプロジェクトがあって、これを組み合わせると、往年のクレイジーキャッツ映画みたいなコメディになりそうなのだけれど、どういうわけか今回はなんか噛み合わせがうまくいかなかったみたい。