2022-01-01から1年間の記事一覧

ジャンフランコ・ロージ監督の『国境の夜想曲』

『海は燃えている』で、難民が続々と押し寄せるイタリア最南端のランペドゥーサ島を描いたジャンフランコ・ロージ監督が、シリア、イラク、レバノン、クルディスタンの国境の夜を淡々と写した。3年間をかけて80時間カメラを回した。3年間で80時間はけして長…

東京モーターサイクルショーで賀曽利隆

東京モーターサイクルショーに行ってきました。 コロナ禍になってからあんなに混雑してる場所は初めてかも。特に4大メーカーのサイトは入場制限をしているために、そこに並ぶ列はかえって混雑するという。なかなか不自由でした。 ただ、全てを帳消しにするラ…

春めき桜

一ノ堰ハラネの春めき桜 河津桜、玉縄桜に続き、今週は春めき桜を、足柄のJAかながわ西湘の福沢総合選果場に観に行った。 JAかながわ西湘福沢総合選果場 もし京都ならこのプレハブの代わりに古寺名刹が建っているだろう。逆に、富山や信州なら、遠くに立山連…

大船フラワーセンターの玉縄桜

玉縄桜 大船フラワーセンターに桜を観に行った。実は、その後、ダミアン・ハーストの桜に回った。 ここの築山にあったはずの啓翁桜を観に行ったつもりだったが、それはなくなって、代わりに玉縄桜てふ、聞きなれない桜が咲いていた。 フラワーセンターの説明…

『燃えよ剣』に出てたフランス人

原田眞人監督の『燃えよ剣』は、岡田准一の土方歳三が五稜郭でフランス人に顛末を語るていをとっている。 あのフランス人の写真があったよなぁと思いながら、なかなか見つからずに取り紛れてしまったが、ひょんなことから出てきたので、紹介したい。「写楽」…

ダミアン・ハースト 桜 観ました

国立新美術館の会場奥で見られるこのインタビューは示唆に富んで面白い。YouTubeにもあるので紹介したい。字幕が出ない場合、画面右上の「cc」というとこを押してください。www.youtube.com まずは現代の芸術家にとって絵を描く「リスク」について。 2012年…

『香川1区』

大島新監督 『なぜ君は総理大臣になれないのか』の続編で、去年の総選挙、小川淳也の選挙区、香川1区の選挙戦をレポートした。 『なぜ君は総理大臣になれないのか』公開の翌年ということもあり、同じ選挙区で長年競っている平井卓也デジタル庁担当大臣の不適…

西平畑公園の河津桜

河津桜はたぶん南関東あたりではいちばん早く春を告げる。3月6日なのにもう満開を迎えている。例年、桜まつりで盛り上げるが、今年はコロナでひっそりやってるようだ。ただ、結局、すごい人出、いい天気で。 私もしばらく来ていなかった。このコロナ禍の2年…

『牛久』

3月18日まであつぎのえいがかんkikiで『牛久』が公開中。www.ushikufilm.com 日本政府が現在進行形で行なっている国家犯罪の中継映像。 おぞましいのは、入管側が記録のために残している映像がいちばん暴力的であること。これなら公開してもいいかと入管が判…

『ダーク・ウォーターズ』

『ダーク・ウォーターズ』は、単にアメリカ映画だけでなく、アメリカ社会の良心と勇気を身に染みて思い知らされる、「傑作」などという言葉でさえ薄っぺらに感じられる、胸に響く映画だった。 『ダーク・ウォーターズ』は、デュポン社が40年間も隠蔽してきた…

アーティゾン美術館 はじまりから、いま。1952-2022

アーティゾン美術館 はじまりから、いま。1952-2022 アーティゾン美術館にいってきました。 《腕を組んですわるサルタンバンク》パブロ・ピカソ ピカソはその頃付き合っていた女性で画風が変わったとか言われる。しかし、逆に画風の変化に伴って、女の趣味が…

Siriにkindleを読ませる

「設定」→「アクセシビリティ」→「読み上げコンテンツ」→「読み上げコントローラ」をオンにして「コントローラを表示」してkindleを読ませている。 そうすると、イヤホンでkindleが聞ける。 が、Siriが日本語が下手で、「公正」を「きみまさ」と読む。 一応…

『発酵する民』

この手のドキュメンタリー映画だと、途中で席を立つ人がいる。しかし、映画の冒頭の献辞に「発酵とは、微生物による分解現象のうち、特に人間に役立つものを言う。そうでないものを腐敗という。」とあった。つまり、映画は十分に自覚的に仕掛けてきている。…

杏さゆり インタビュー by 吉田豪

杏さゆりの当時の話を聞いて驚いた。 100 MAGIC WORDS(CCCD)アーティスト:杏さゆりフォーライフミュージックAmazon

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

ウエス・アンダーソン監督の最新作は、雑誌文化へのオマージュでありレクイエムであり、そのパロディでもある。 紙の雑誌というものはどうやら滅びるらしいのだが、そんな終焉の時から振り返って考えてみると、日本からはついに世界中に読者を持つ雑誌は生ま…

『エッシャー通りの赤いポスト』

去年、ハリウッドデビューで話題になった園子温監督、ニコラス・ケイジ主演の映画『プリズナー・オブ・ゴーストランド』はひどかった。園子温監督はもう終わったのかと思った。しかし、水道橋博士のYouTubeで語っていたところによると、あの脚本は園子温監督…

『大怪獣のあとしまつ』

三木聡の映画は2007年の『転々』あたりからずっと観ている。 『転々』も見事だったんだけれども、なんといっても『インスタント沼』が素晴らしく、日本のコメディ映画史上唯一無二の傑作だと思う。三木聡作品はもはや三木聡というジャンルなのでそういう味わ…

『スパイダーマン ノーウェイホーム』ネタバレ

マーティン・スコセッシ監督が「マーベル作品は映画ではない」と発言して物議を醸したことがある。また、『アベンジャーズ』の「日本よ、これが映画だ」というコピーが大炎上したことがあったことを思うと、少なくとも「これが映画だ」はないだろうと思って…

濱口竜介と三島由紀夫、吉本隆明、江藤淳、村上春樹

濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』を観て、そして、彼の作品に対する世界中の熱狂を見て、改めて、書き言葉(テキスト)こそが言葉だと確信する。 言葉で何かを作ろうとすると、それがたとえ即興劇であったとしても、言葉は書き言葉になるしかない。こ…

『皮膚を売った男』

ケーン・デ・ボーウの演じる現代芸術家ジェフリー・ゴドフロワがカメラに向かって 「芸術は死んだと言われているが、現代ほど芸術がエキサイティングであった時はない。」 という。 「芸術が死んだ」という常識としつつ、それも含めてなお芸術がエキサイティ…

『偶然と想像』、『寝ても覚めても』

濱口竜介監督の演出が世界中を魅了しつつある感じ。 『ドライブ・マイ・カー』の主人公が披露した独特な演出方法は、宇多丸さんは濱口竜介監督自身の演出方法だと言ったが、濱口竜介監督自身はあれは私の演出方法ではないと答えている。 あれが彼の演出方法…

『SAYONARA AMERICA』

パンデミックは世界的オペラ 『SAYONARA AMERICA』は『NO SMOKING』に採録された細野晴臣のアメリカツアーのライブの再編集版といった面持ちなんだけれども、この2年で世間もこちらも変わってしまったせいか、熱量というかグルーブ感というかがまるで違って…

『ボストン市庁舎』

フレデリック・ワイズマン監督の『ボストン市庁舎』を観た。 上映時間4時間ごえという、この長尺の持つ意味は、今回の場合、今までの作品と違って、主人公がマーティン・ウォルシュ市長ひとりにしぼられてしまうおそれがあったからだとおもう。プロパガンダ…

川端龍子の《竜安泉石》

大田区立龍子記念館で《竜安泉石》を観た。 会場を長方形として、入り口側の短辺のウィンドウケースに展示されていた。その対面側の、河童の絵のところで振り返ってみて《竜安泉石》の全体像が見えた時にハッとした。 屏風として立て回されているのに、まる…

2021年の映画をふりかえる

2021年の日本映画で個人的にベストだったのは、石井裕也監督の『茜色に焼かれる』。これは、宇多丸さんのラジオでも別枠で評せられていたので、敢えて取り上げるまでもないかもしれない。akaneiro-movie.com 今さら去年の映画を取り上げるのは石川梵監督の『…

浅草キッドによる『浅草キッド』

水道橋博士が語る『浅草キッド』の裏話の階層が深かった。 特に、『浅草キッド』の構想は7年前からのもので、Netflix以外の全配給会社に断られていたというのも、意外というか、なるほどというか。 水道橋博士は、週刊文春に連載していた「芸人春秋」がパサ…

木島櫻谷、嵐山

福田美術館で木島櫻谷(このしまおうこく)の展覧会を観てきた。というか、三ヶ日で開けている美術館は珍しいか。 木島櫻谷は、夏目漱石に酷評されたことで知られている。現在のその知名度の差からして、今から振り返ると、この事件は重大すぎるように感じる…