2014-01-01から1年間の記事一覧

感情の問題

このところ、このブログに、‘川田文子’‘松本栄好’のキーワードにひっかかって来る人が増えている(といっても、もちろんたいした数じゃないけれど)。 それで、‘どんなこと書いたかな’と思って、読み直してみたけど、言いたい放題書いてるけど、思ってたほど…

神々はもはやなく

マルグリット・ユルスナールが、フロベールの書簡集のなかに見いだした、忘れがたい一句、 「キケロからマルクス・アウレリウスまでのあいだ、神々はもはやなく、キリストはいまだない、ひとり人間のみが在る比類なき時期があった」。 先日のポール・マッカ…

バルテュス展

バルテュス展は、ずっと行く気満々だったけど、場所が上野ですから、うっかり寝坊した日は断念せざるえない。絵が好きな人にかぎっていえば、上野の集客力は、渋谷、原宿を軽く凌駕している。 4月19日に始まって、5週間たちましたってところで、すでに図…

「グッド・イヴニング・ニューヨーク・シティ」

「ニューヨーク・アニバーサリーライブ」の第一弾、ポール・マッカートニーの「グッド・イヴニング・ニューヨーク・シティ」に行ってきました。 2009年、シィティ・スタジアムのこけら落としとして行われた、ポール・マッカートニーのライヴなんだけれど…

憲法解釈見直しについて

北方四島なんてどうでもいいから、さっさとロシアと親交をむすべとずっといってきたけれど、わたしがそんなこといっても何にもならないのは、そりゃまあいうまでもない。 今度のクリミアについての日本の態度には、ロシアもほとほと業を煮やしたらしく、とう…

片山祐輔=スノーデン説

ま、うすうすわかってたんですけどね。だけど、それは云わないし、書かないんだ、こんなブログでも。 片山さんが逮捕されたときに、2ちゃんねるの元管理人西村さんが、SPA!のコラムで、‘警察が逮捕にむかう何時間も前に、その情報をマスコミがリークし…

超絶技巧!明治工芸の粋

アートとクラフト、芸術と工芸、という区別にどんな意味があったのか、知らないけど、ともかく、仮にでもそういう区別を設けてみた価値観にとらわれたために、江戸から明治への、大きな時代の変動期に花咲いた、これらの‘超絶技巧’を私たちはむざむざ見逃し…

「チョコレートドーナツ」

「チョコレートドーナツ」は、じわじわ話題になって、今は、ヒットしているといっていい状況みたい。 みなとみらいの109シネマズに観にいったんだけど、最初はつらかった。というか、いつのまにか眉をしかめているのにきづいて、暗がりの中なんだけど、意…

マルセル・ブロータースから始める

東京国立近代美術館(竹橋にあるやつ、代々木上原で乗り換えるまで、頭の中では清澄白河に行く感じになってた)に「映画をめぐる美術 マルセル・ブロータースから始める」を観にいった。 他の人のブログなどを読んでも、また、今までの映像作品を観た経験か…

『水死』

水死 (講談社文庫)作者: 大江健三郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/01/15メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 今回の帰阪には、タブレットを携行したわけだけれど、そうなるとやはり、電子書籍は便利。荷物がかさばらないのだし。 大…

関西の美術巡り

関西に帰っている間に、神戸市立博物館、白鶴美術館、香雪美術館、横尾忠則現代美術館、兵庫県立美術館に行った。 神戸市立博物館はボストン美術館所蔵の北斎展。ただ、北斎に関しては、観まくっているので、諸国瀧廻りも富嶽三十六景も全品観ているし、さす…

上原と松坂

今年のゴールデンウイークは、カレンダーが悪くて休みが短かった。個人的には、これは昔からだけど、ゴールデンウイークにさしたる思い入れがないが、このところ、毎年、帰阪することにしているので、あんまり短いと体力的に応える。 こっちではテレビを観る…

『招く女たち』

招く女たち (ブルックナー・コレクション)作者: アニータブルックナー,Anita Brookner,小野寺健出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1996/11メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る アニータ・ブルックナー『招く女たち』を読んだ。原…

松本栄好証言の私にとっての重要性

神奈川新聞に載っていた、相模原の元牧師、松本栄好氏の慰安婦に関する証言は、そんなに話題にならなかったようなのは、正直言って、慰安婦についての議論は、このところ、手が尽きたという感じがあって、定番の詰め将棋とか、はやりすぎた怪談のオチとかと…

『帰ってきたヒトラー』

帰ってきたヒトラー 上作者: ティムールヴェルメシュ,森内薫出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2014/01/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (31件) を見る帰ってきたヒトラー 下作者: ティムールヴェルメシュ,森内薫出版社/メーカー: 河出書房新社…

「レイルウェイ 運命の旅路」

仕事を昼までに片付けて、横浜ブルグ13に「レイルウェイ 運命の旅路」を観にいった。原題は、‘The Railway Man’で、この原題を頭の片隅にとどめておいた方がテーマを見失わずに済むと思う。 コリン・ファース、ニコール・キッドマン、真田広之、と日英豪の…

オバマと天皇のスピーチ

宮中晩餐会での、バラク・オバマと今上天皇のスピーチを、新聞で読んで、バラク・オバマのカウンターパートとなりうるのは、安倍晋三ではなく、天皇陛下だという‘事実’に驚いている。 大統領のスピーチにも、天皇陛下のスピーチにも、正統の継承という意識が…

ジャスティン・ビーバーと140人の国会議員 靖国参拝

以前、日本のリベラルはただのおためごかしだと書いたけれど、もっと正確な定義を思いついた。 日本の左翼=いい子ぶってる、日本の右翼=ワルぶってる。日本の右翼、左翼はそれだけのことだと思う。この人たち、思想的に対立しているようで、人間としては承…

日曜日の神奈川新聞

日曜日の神奈川新聞に、今年、92歳になる元牧師の松本栄好という人の、慰安婦に関する証言が掲載されていたのを読んだ。 陰惨で生々しい証言だが、この人にしても、この証言をはじめてしたのは、わずかに6年前のことだそうだ。河野談話に遅れることおよそ…

『未完の憲法』

未完の憲法作者: 奥平康弘,木村草太出版社/メーカー: 潮出版社発売日: 2014/04/05メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る 先週末、渋谷往復のどこかで風邪をもらったことは間違いないみたい。思い出してみれば、去年の今頃も風…

日曜日のシアター・イメージフォーラム

今日は体調がよくなかった(このあと風邪を引いた。この時期、風邪のひきはじめと花粉症がまぎらわしくて、対応が後手に回る)。きのうは、平塚市美術館のあと、鎌倉に、藤沢から江ノ電を長谷でおりて光即寺の花海棠を観にいったのだけれど、先週の海蔵寺の感…

石田徹也展−ノート、夢のしるし

平塚市美術館で今日から始まった石田徹也の展覧会を見に出かけた。 故人を天才呼ばわりするのは、思考放棄にすぎないかもしれないが、おそらくこの人は今後、天才と呼ばれてゆくだろう。 今まで断片的に観ていた絵から判断して、もっと寓意的なものか、もっ…

「THE NEXT GENERATION パトレイバー」

昨日、仕事が早く終わったので、「THE NEXT GENERATION パトレイバー 第一章 」を観る羽目になった。 もっと、早く終わっていれば、ジャック&ベティに、ほんとは日曜日にいくつもりだった「MUD」を観にいきたかったのだけれど、大岡川…

『冬の旅』

冬の旅作者: 辻原登出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/01/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見るシューベルト:歌曲集「冬の旅」アーティスト: フィッシャー=ディースカウ(ディートリヒ),シューベルト,ムーア(ジェラルド)出版社/メーカー:…

『アズミ・ハルコは行方不明』

アズミ・ハルコは行方不明作者: 山内マリコ出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2013/12/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (20件) を見る 『ここは退屈迎えに来て』はよかった。あれは、構造が源氏物語。いろいろな女性を主人公にした短編を、集めたよう…

龍峰寺〜鎌倉、桜

桜の季節が週末に重なったので、久しぶりにカメラを持って出掛けた。 海老名の龍峰寺。思い出してみると、震災の年くらいまでは、春になるとあちこちの桜の開花をおいかける週末をすごしたものだったが、何がどうしたというわけではないものの、それからしば…

「白ゆき姫殺人事件」

土曜日、「白ゆき姫殺人事件」を観た。日曜日は、台風並みの大雨でどこにもでかけなかった。 中村義洋監督は信頼してる。いちばん好きなのは「ジャージの二人」かもしれないが、「ポテチ」、「ジェネラルルージュの凱旋」、「ゴールデンスランバー」、「アヒ…

『マス・イメージ論』

マス・イメージ論 (講談社文芸文庫)作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/03/09メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る じしんの詩的な体験から云ってみれば<現在>が現在にはいるにつれ、いつの間にかいままでの詩…

立憲主義かどうかはともかく

「考え方の一つとして、いわば国家権力を縛るものだという考え方がある。しかし、それは王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であって、いま憲法というのは日本という国の形、理想と未来を、そして目標を語るものではないかと思う」 という、安倍…

「ウォルト・ディズニーの約束」

「ウォルト・ディズニーの約束」は、ずっと前から楽しみにしていた。ことしは、「メリー・ボビンズ」50周年だそうで、その記念という意味もあるんだろう。何と言っても、トム・ハンクスがウォルト・ディズニーを演ずるんだから、それだけで元が取れる。 ほ…