2020-01-01から1年間の記事一覧

『ぶあいそうな手紙』『はちどり』『あなたの顔』

この週末、新百合ヶ丘のアルテリオ映像館で『ぶあいそうな手紙』、『はちどり』、『あなたの顔』と3本連続で見逃せない映画がかかってた。1日三本はきついかなと懸念したけれども、いい映画は目が疲れないってあるのかな。わからないが、ひとつには、3作品…

『ハニーランド  永遠の谷』

『ハニーランド』は、事前に何の情報もなく観終えたらドキュメンタリーとは思えないほどだ。というか、ドキュメンタリーっぽく始まって、イソップ物語みたいに終わる。ドキュメンタリーとして観始めても、フィクションとして観始めても、なんかもやもやして…

『アングスト』ネタバレといえばネタバレ

アングスト 『アングスト』を観た宮藤官九郎は、「主人公の犯行がドジすぎてだんだん応援したくなる」と書いていた。確かに、ドリフのコントくらいドジ。実在の殺人事件をモデルにしているというフリが効いている。 ちなみに、この文章にはネタバレが含まれ…

コロナ不況で株価が上がるのはなぜ?

新型コロナの世界的な流行で世界全体の経済が縮小している。 しかし、株価は上がっている。 そんなことがありうるのか。 株価が上がるのは、株を買う人が増えるからであって、株を買うのは、その株を発行している企業の業績が、今より上がると予測して、その…

美女が本気で罵り合う『オーバー・ザ・リミット』

オーバー・ザ・リミット ロッテントマトで満足度100%を獲得している。アメリカ人はなんだかんだいってロシアに興味津々なんだろうな。ニューヨークタイムズは「現実にあるホラー」と書いているが、よくもわるくも日本人の目にはそうは映らないだろう。 …

おいしい浮世絵展

森アーツセンターギャラリーで「おいしい浮世絵展」。 食べものをテーマにした浮世絵展。なぜか国貞と国芳が多かった。 ということは、江戸の食事情ってことになる。他にも、広重、北斎、豊国などなので。 歌川国貞については、2018年の静嘉堂文庫の国貞…

『ブレスレット 鏡の中の私』と『アンティークの祝祭』

イオンシネマがさすがにTOHOシネマズと同じ映画ばかりかけてちゃまずいんじゃないかと気づいたみたいで、こないだの『アルプススタンドのはしの方』とかもそうだけれど、差別化を図ろうという努力を始めているみたい。 『ブレスレット 鏡の中の私』も、もし…

STARS展 現代美術のスターたち―日本から世界へ

杉本博司 Revolution コロナ禍の美術展は、時間予約になったせいで混雑することなく鑑賞できる。実は、コロナが流行る前から、たとえば、草間彌生美術館とか、アーティゾン美術館とか、新しい美術館は事前予約をとるケースも増えてきていた。 草間彌生美術館…

都市の猛暑をしのぐアイデアいくつか

結局、東京五輪なくてよかったじゃない?、と思わせる猛暑が続いている。 なので、都市の猛暑をしのぐアイデアをいくつかランダムに紹介したい。 まずは、「シェルピンスキー四面体」を利用したサンシェード。 フラクタル日除け うっかり夏の海辺でタープな…

エド山口が見た偽ビートルズの話

桑田佳祐が最近ラジオでビートルズの特集をやっていた。そのついでに、映画『イエスタディ』をつまんなかったと評していた。 鴻上尚史は「名作だ」と書いていたのに、この違いはたぶんミュージシャンと劇作家の違いなんだろう。ちなみに、ニューズウィーク日…

中国はもう国際社会の一員であることを辞めたらしいって話

jp.reuters.com mainichi.jp 香港で露骨な民主派弾圧が始まった。 これは、第二次世界大戦後、国際社会が営々と築き上げてきた価値観に対するあからさまな挑戦で、到底受け入れられない。 トランプ、ボリス・ジョンソンってキャラのために、排外主義的な言動…

『アルプススタンドのはしの方』

アルプススタンドのはしの方 佐久間宜行のオススメだったので観に行った。 もとは兵庫県立東播磨高校の演劇部が2017年の演劇部の甲子園みたいな大会で最優秀賞を獲得したネタで、本を書いたのはそのときの顧問の先生だった藪博晶という人だそうだ。 演劇…

『透明人間』と『アップグレード』観ました

透明人間 映画『透明人間』っていうと、いったいいつの時代の映画なんだって内心思ってしまう。 透明人間が最初に映画化されたのは1933年だそうだ。それからも、色んなメディアで作品化され続けた。近くはポール・バーホーベンの『インビジブル』(2000…

アレハンドロ・ホドロフスキーの『サイコマジック』

サイコマジック アレハンドロ・ホドロフスキーの『エンドレス・ポエトリー』の独特な世界が気に入っている。あれは、詩人の自伝だった。今回のは詩人の対話編ってところかな。誰かが老詩人に言葉を求めに来ると、ホドロフスキーがそれに応じる。 冒頭、ホド…

『なぜ君は総理大臣になれないのか』ネタバレ

なぜ君は総理大臣にならないのか 感染者数がどんどん増えているのと、あいかわらずの梅雨空続きで、なんとも気勢があがらない。 麻生太郎が言ったように「日本人の民度の高さ」が感染者数が少ない根拠だったのだとしたら、ここ1ヶ月で日本人の民度が急にさが…

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト』と『続・荒野の用心棒』

セルジオ・レオーネの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト』のオリジナル版と、セルジオ・コルビッチの『 続・荒野の用心棒 (DJANGO)』デジタルリマスター版があつぎの映画館kikiでやってたので観た。 下の、クエンティン・タランティーノのイ…

『椿井文書 日本最大級の偽文書』読みました

椿井文書―日本最大級の偽文書 (中公新書)作者:馬部隆弘発売日: 2020/05/29メディア: Kindle版 馬部隆弘の書いた『椿井文書 日本最大級の偽文書』を読んだ。 江戸時代後期の椿井政隆という人物が、広範囲にわたる偽文書、偽の絵図、偽の家系図、などを大量に…

三浦春馬さんが亡くなって

三浦春馬って人が亡くなった。30歳だそうで夭折というしかない。 私は他の多くの人と同じく詳しく知らない。『こんな夜更けにバナナかよ』を観たくらい。佐久間宣行が『キンキーブーツ』のローラを絶賛していた。 そういうわけで、確かに惜しいのだけれど、…

『パブリック 図書館の奇跡』

エミリオ・エステベスが監督、脚本、主演した『パブリック 図書館の奇跡』は満席だった。2018年の映画で、このコロナ禍がなければ日本では上映されなかったかもしれない、すがすがしいほど低予算の映画だった。大寒波の夜が全然寒そうに見えないです。お金が…

コロナ時代、エンタメ配信の伸びしろについて

OMIYAGE 『パブリック 図書館の奇跡』は満席だった。とはいっても、ソーシャルディスタンスで椅子はひとつ飛ばしなので、コロナ以前の数え方なら50パーセントの観客数ってことなんだけど。 映画館って、そもそもそんなに儲かる商売ってわけじゃなかった。…

中国の側にいるとヤバイって話

アメリカでは、ニューヨークでようやく落ち着いたコロナ禍が、こんどはマイアミとかフロリダに広がって新たな感染の震源地となり、ほとんどの病院でこれ以上の入院患者が受け入れられない、医療崩壊寸前の状態になっているようだ。 一時期、この新コロナウィ…

千葉市美術館 リニューアルオープン

2020年7月11日に千葉市美術館がリニューアルオープンした。今までは、千葉市の中央区役所の建物を間借りしていたんだけど、その建物自体が、昔の銀行の支店の跡地で 旧・川崎銀行千葉支店こんな感じのロビーが何にも使われずに放置されていてもったいない感…

『白い暴動』

白い暴動 1978年4月30日に、トラファルガー広場から7マイルの行進のあと、ヴィクトリア公園で「ROCK AGAINST RACISM」のギグがおこなわれた。 当初は「コンサートを聴くためだけに7マイルも歩くやつはいない」と思われていたそうだが、インターネットどこ…

コロナの時代の美術館

一週間前の話になっちゃうけど、国立新美術館にでかけた。 そしたらこんな感じ。 国立新美術館 平日とはいえさびしすぎる。 国立新美術館って、美術館と言いつつ、英語表記を見ればわかるようにartcenterであってmuseumじゃない。ので、所蔵品をもたない、ア…

『8日で死んだ怪獣の12日の物語』劇場版公開決定

樋口真嗣原案、岩井俊二監督の『8日で死んだ怪獣の12日の物語』youtube配信版みましたけど、ほとんど部屋の窓際だけの映像なのに、やっぱ腕がある人が撮るとおもしろいのですね。オチもしゃれてる。 これ↓一話目です。 この七月三十一日から劇場版…

『ビッグ・リトル・ファーム』ネタバレ

自然農法ということばは、環境破壊ということが言われ始めたころ、たぶんレイチェル・カーソンの『沈黙の春』くらいからずっと言われ続けている言葉だと思う。 しかし、その実態はどういうものなのかをふつうの人はどう知るかといえば、たとえば、テレビ番組…

東京国立博物館で「きもの」

東京国立博物館「きもの」 この展覧会もコロナ禍の割り込みで会期が後になった展覧会。もともとインバウンドの客が多いトーハクだし、コロナ禍でなければ、外国語がとびかうにぎわいになっていたことだろう。 三密を避けるために、チケットは入場時刻指定の…

『レイニー・デイ・イン・ニューヨーク』と『ペイン・アンド・グローリー』のノスタルジー

A rainy day in NewYork これは2017年の映画なのだそうだ。この公開が今年にずれ込んだについては、#MetTooの余波だそうで、私の記憶では、その事件はかなり古い話だし、しかも、ウディ・アレンが勝訴したはずだ。それから特に新事実が出てきたわけでもない…

慰安婦像のまわりで起きていること

「black lives matter」のもりあがりとともに、各地で銅像の引き倒しが続いている。かつては英雄や功労者と称せられたものたちが、今では差別の象徴と成り果てている。 www.afpbb.com この問題に世界の目が集まる一方で、東アジアを騒がせてきたもう一つの像…

「お久しぶりです、武漢」観ました

竹内亮さんって中国在住の日本人監督がロックダウン明けの武漢を取材した動画。コウモリに食らいついている野蛮人ってイメージからはほど遠いことがわかる。