2015-01-01から1年間の記事一覧

『ネアンデルタール人は私たちと交配した』

ネアンデルタール人は私たちと交配した (文春e-book)作者: スヴァンテ・ペーボ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/06/27メディア: Kindle版この商品を含むブログ (6件) を見る スヴァンテ・ペーボのこの本はもうだいぶ前に読んでいた。野中香方子てふひ…

右も左も戦争童貞

チェーホフの名訳者として知られている神西清が、チェーホフが書き残したノートを引用してこう書いている。 「神あり」と「神なし」との間には、非常に広大な原野が横たわっている。まことの智者は、大きな困難に堪えてそれを踏破するのだ。ロシア人は、この…

exclusive vintage

私が、エドウィンのexclusive vintageを履いていると、「チェ!」という顔をするコンビニ店員がいる。 先々週かその前の週末だったと思うけど、このごろほどではないながら、なかなか暑い日だった。 けど、映画館に行くから、短パンは避けたわけ。冷房がハン…

法的安定性なの?

「法的安定性」って、もし、民主党が、「集団的自衛権容認」を「違憲」だと主張するなら、「法的安定性」も何もない。こういうあんまり耳慣れない言葉が出てきた時は、警戒しなければならない。 そもそもは、国会に呼んだ学者さんたちが、みんな、「違憲だ」…

「人生スイッチ」〜「ウイングス ロックショウ」

*「人生スイッチ」 アルゼンチンの映画。オムニバス形式で脈絡の無いエピソードが羅列されてゆきます。だから、プロットみたいのはない。実は、一話目のあいつが、最終話のあいつの・・・みたいな余計な心配しなくてよい。 エピソードとしては面白いけど、…

安倍首相のたとえ話と右傾化について

集団的自衛権を説明する安倍首相のたとえ話が分かりづらいそうだが、もし、分かりやすかったとしても、譬えは所詮、譬えにすぎない。譬えが分かりやすければ真実ということにはならない。 例をあげると「右傾化」という言葉があるが、これも実は、言い古され…

オスカー・ニーマイヤー

東京都現代美術館のオスカー・ニーマイヤー展について書こうとしている。ル・コルビュジエと共同で、ニューヨークにある国連総本部を設計したブラジルの建築家だが、そのまえに、同じく東京都現代美術館で開催されている「おとなもこどもも考える ここはだれ…

『茶室学』

藤森照信の茶室学―日本の極小空間の謎作者: 藤森照信出版社/メーカー: 六耀社発売日: 2012/04/20メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る なんかもっと軽いエッセーみたいの読んでるつもりで読み進んだんだけど、案外ほんとに「茶…

蔡國強、ポール・ジャクレー

横浜美術館に蔡國強を観にいった。北京オリンピックの開会式をプロデュースした、火薬を使ったパフォーミングアーツの人で、吉岡徳仁の展覧会でも同じようなことを思ったが、すでに美術館の枠を超えて、美術館の外に表現の場を持ち得ている人が、あえて美術…

新国立競技場 唯一の解決策

とうとう、新国立競技場の計画は白紙に戻ってしまった。 であるならば、私として提案したいのは、今の更地は何も建てず、自然林にもどしてほしい。生態系が回復した頃に、茶室でも造ればいいんじゃない?。へたな新しいスタジアム造るより、都心に緑が増えて…

平和憲法というお題目、平和国家というブランド

安保関連法案が可決したそうですな。 漏れ伝わるところによると、泣いたり騒いだり、あいもかわらず、にぎやかなご様子。 強行採決なのだそうですが、しかし、反対する方の態度も強行だったように見えるんですよね。国民の理解が深まっていないのはそうでし…

「ダライ・ラマ14世」

横浜シネマリンで、「ダライ・ラマ14世」が始まったので観に行った。これも(というのは、「シェフ〜三つ星フードトラック始めました」を見逃してたのが、なんか悔しいって思いの「も」)5月の末ごろから、渋谷のユーロスペースでやってたらしい。やっぱ…

新国立競技場をシンガポールの業者が作ったら

前回、書いたあと、安藤忠雄の発言が記事になってたので追記する。「なんでこんなにかかるか、わからへん」っていってるのは、言うまでもなくアイロニーだ。辛坊治郎には、その皮肉が「わかる」と思うからこそそう云ってる。 この国の「大衆」の意見ってのは…

新国立競技場についてもう一回

これが問題になった最初の頃、一言書いたので、とうとうぐずぐずになった今、もう一回書いておく。 この問題の本質は何かというと、それはこの国の土建屋の体質。つまり、お金の問題。誰か、この新国立競技場の建設費を内訳まで精査してみてモノ言ってる人い…

『サザエさんの東京物語』

サザエさんの東京物語 (文春文庫)作者: 長谷川洋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/03/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (9件) を見る 解説の江國香織も書いているけど、『サザエさん』の単行本は表紙の絵がすばらしくて、絵本まで気ばってませ…

「シェフ〜三ツ星フードトラックはじめました」

「シェフ」っていう映画が、海老名のイオンシネマで、なんかゲリラ的に上映されていた。ジョン・ファヴローっていう「アイアンマン」の監督が、監督のみならず主演、脚本、製作した映画。観た後気がついたけど、この映画、二月ごろにロードショー公開されて…

ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし

東京藝術大学大学美術館に(発見したんだけど、この‘ 大学大学 ’美術館の英語表記は“ The University Art Museum - Tokyo University of the Arts ”、英語にすると“ART”もふたつだよ)、ヘレン・シャルフベック展を観にいった。 フィンランドの女流画家とい…

「沖縄慰霊の日と海外報道」

今朝コンビニで週刊文春を買って、昼休みに小林信彦のコラムを読んでたら、「沖縄慰霊の日と海外報道」という副題で 現時点でいえば、<集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案>を廃案か撤回するのがまず最初だと思う。 と書いてあって、文字を…

悪いけど、そこじゃないから。

きのう、久しぶりに仕事を休んだので、平日の休みをどうするか、熟慮なんかしてたら、しているうちに終わってしまうので、とるものとりあえず、上野に行った。土日の美術館は、軒並み混み混みだから、平日のアドバンテージを活かせるんじゃないかと思ったわ…

その道はいつか来た道

渋谷で盛り上がっている若者たちに水を差すようで悪いけれど、おじさんたちはその光景はいつか見た。何度も見た。今回だけは違う、なんてことはない。 デモに行くより選挙に行け。投票率はあいかわらず最低ラインをさまよっている。 何がバカバカしいかはよ…

自民党の「日本国憲法改正草案」にすでに表現の自由は制約されている

2012年に自民党が発表した「日本国憲法改正草案」は、表現の自由を保証する第21条に、第2項として、「前項の規定にかかわらず、公益および公の秩序を害することを目的とした活動を行い、ならびにそれを目的として結社をすることは認められない。」と…

『33年後のなんとなく、クリスタル』

33年後のなんとなく、クリスタル作者: 田中康夫出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2014/11/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (15件) を見る 田中康夫の『33年後のなんとなく、クリスタル』を読んだ。 33年はけっして短くない。猫なら絶対死ん…

田能村竹田 没後180年展、フィラデルフィア美術館浮世絵名品展

土曜日、ともに6月20日から開催されている、出光美術館の「田能村竹田 没後180年展」と、三井記念美術館の「フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」にでかけた。 が、そのまえに、広瀬すずの「スタッフ軽視発言」とかに一言したりするのがブログなるも…

ゴー☆ジャス

バナナマンのバナナムーンGOLDは、TVから遠ざかっている今日このごろ、コメディアンのトークを聞く、ほとんど唯一の機会。現在進行形のTVタレントの栄枯盛衰はもちろん、笑芸の現状についても語るべき何物も持ち合わせないので、先週、スペシャルウィークの…

GACKTのインタビュー

今週の週刊SPA!で読んだ、GACKTのインタビューが面白かった。この人、今、インドネシア、フィリピン、マレーシア、香港、など、複数の国で暮らしている。日本には「パワーを感じない」のだそうだ。 この「パワーが落ちてきてる」ていう日本のとらえ…

「ベラ・ヴィータ」

「海街diary」が素晴らしかったので(ああ、それから、前回のエントリーでリンクしておいた是枝裕和監督のインタビューにもふれられていたことだけれど、「映さない」演出がすばらしかった。この映画の中でも、一番印象的かもしれない船の上からすずが…

「海街diary」

是枝裕和監督の「海街diary」は、堂々とした風格をそなえた、美しい街のような映画だ。古典の作家たちが、おそらくそう知っていたように、どんなに小さく私やかな事情を描くにしても、そこに美しさが宿るとすれば、その美しさは数学的であり、したがっ…

ドラッカー・コレクション 珠玉の水墨画

千葉市美術館で「ドラッカー・コレクション 珠玉の水墨画」という展覧会が開かれている。今週末のおでかけに、「海街diary」の次くらいにお勧め。 ドラッカーって、もしかして、もしかするまでもなく、あの「もしドラ」のピーター.F.ドラッカーです。…

「レッドファミリー」

「嘆きのピエタ」を監督したキム・ギドクが脚本を書いて、プロデュースしたのに、監督はしなかった映画「レッドファミリー」。ロードショー中に新宿武蔵野館で観ようとしたけど満席で見逃してしまったのが、アミュー厚木でやってたので、これもまた最終日ギ…

「あん」、「駆込み女と駆け出し男」

「あん」と「駆け込み女と駆け出し男」を観た。これは樹木希林つながり。 まず「あん」は、カンヌで評価の高い河瀬直美の監督。カンヌで評価は高いが、観客ウケはそんなによくないっていう状況には、アカデミズムの匂いがするわけだけれど、だからといって、…